1. 筋の働きからみた歩行運動
-ニューエクササイズウォーキングの勧め- 関西医科大学教授 岡本勉 はじめに 従来より、健康の保持・増進のため、散歩など歩行を行なう人が多い。近年、エクササイズウォ-キンク(Exercise Walking)という言葉を、新聞・雑誌で見かけるようになってきた。この言葉を最初に使ったのは、米国のG.D.ヤンカー12)である。このエクササイズウォーキングは、ジョギングに代わる運動として米国で脚光を浴び、日本でも多くの人々によって行なわれている。これは、のんびりと歩くのではなく、肘を直角に曲げた競歩にも似た大股速足の歩行である(図1参照)。 大股速足のエクササイズウォーキングは、ジョギングに比べると足・膝・腰の障害が少なく、健康増進運動として適している。しかし、今までエクササイズウォーキングについて筋の働きから詳細に検討されたものは非常に少ない2、9)。 そこで、筋活動を記録し、エクササイズウォーキングをジョギングや各種歩行、立位姿勢等と比較し、運動としての歩行の観点から筋電図的に検討を加えた。また、筋力やバランスの衰えた高齢者歩行についても筋電図記録し、老化を防止する歩き方についても筋の働きの面から検討した。
図1 エクササイズウォーキング
エクササイズウォーキングのポイント:大股速歩で歩くこと 1. 前脛骨筋(足首を曲げる筋:足背屈筋) 2. 腓腹筋(を押し挙げる筋:足底屈筋) 3. 内側広筋(膝を伸ばす筋:膝伸展筋) 4. 大腿直筋(膝を伸ばす筋:膝伸展筋。大腿を前方に挙げる筋:股関節屈曲節) 5. 大腿二頭筋(大腿を後方にそらす筋:股関節伸展筋・膝を曲げる筋:膝屈曲節) 6. 人殿筋(大腿を後方にそらす筋:股関節伸展筋)
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