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近親者の介護労働に対して適用される近親者介護有給休暇(年間60日間)も、同じ意図と機能をもつものである。
スウェーデン福祉国家の政治の目標は家族という単位そのものではなく、家族内における個人の自立強化であるといえる。高齢者の経済的自立や親への依存的存在から子どもを擁護することは、扶養能力のない者が家族の全体的なコントロールに強制的に敷かれないためのものであり、また男女はお互いに自立した対等な関係におかれるべきだという考えに則すものである。一方通行的な依存関係は人々に依存を強制するリスクをもたらすため、リスクはなるべく取り去るべきであるという考え方だといえる。家族という社会制度は依存関係にある構成員に対して、必ずしも必要なあるいは十分な扶養、介護、養育をたえず保障しうるものではないというのが、福祉国家の視点である。家族の所得収入が平等に分配されるかというと、必ずしもそうではないし、また家族への介護・養育労働も平等に分担・提供されるとは限らない。スウェーデンのめざすものは、個人の自立と任意を基礎とする家族モデルの発展であることが確認できよう(Bjornberg(1992))。
かたや、スウェーデンの家族生活は、個人の経済的自立を可能にしたスウェーデン型福祉国家の形成によって崩壊したというアメリカ人研究者Popenoe(1991)などの非難もきかれる。Popenoeの主張がはたして科学的に裏付けられるのか否か試される必要があるが、彼によれば世界先進諸国のなかでスウェーデン家族は家族間の断絶や結婚や家族形成への関心の薄くなってしまった最も弱い家族になりつつあるということである。しかし、家族の個人化・多様化による「個人的な生の充実」(個人化)は必然的な流れとして把握すべき事実である。

 

6.4 家族形成と非婚姻同居

カップル形成:
今世紀の初めからみると、両親の家から独立しカップルを形成し、パートナー同居を始める平均年齢は徐々に若くなってきている。1960年代に生まれた女性は、すでに20歳でパートナーとの最初の同居を始めている。1910年代に生まれた女性をみると、この割合はわずかに4分の1にしかすぎなかったことが指摘され、最初のカップル形成同居は平均26歳であった(SCB 1995:1)。男性に関してもほぼ同じことがいえるが、女性に比べてパートナーと初めて同居する年齢が2歳ほど高くなっている。福祉国家による生活の安全の保障が、自らの稼得による十分な経済的安定を待たずとも家族形成を可能にする(たとえば勉学ローン)ことが大きな背景であろう。
しかし、若い世代のカップルによる同居が必ずしも結婚するあるいは子どもをつくるという伝統的な家族形成を意味するものではない(表7)。現代のカップル同居は普通、非婚形態をとる。したがって、平均結婚年齢は下がらないで、どちらかというと上昇してきている。1960−1970年代の平均初婚年齢が男性25歳、ならびに女性

 

 

 

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