日本財団 図書館


 

給付額財政縮小のため給付額は80%に引き下げられた。
(両)親保険の男女別利用をみると、母親の利用が圧倒的に多かったことが指摘される。国の社会保険局の統計によると、1986年の父親の利用率は9%であったのが、1992年には9%、1994年には11%に増加してきている。病気の子どもを介護する特別(両)親休暇は、しかしながら男女ともにほぼ同じ利用率である。1992年には父親の41%が、1995年には39%強が特別(両)親休暇を利用している(Proposition 1993/94:17,Regeringens skrivelse,1996/97:41)。
また、国の社会保険局による1994年ならびに1995年1月に出生した子どもの両親の(両)親保険利用率の調査によると、1995年1月生まれの子どもの父親の50%が最初の1年以内に平均41日間の育児休暇を利用している。1994年1月生まれの子どもの父親の利用率は、最初の1年間に30%が平均58日間となっている。利用する父親の割合の増加は、社会保険局によると社会保険局の(両)親保険に関する広報活動の成果とみられる。また、父親月の導入も完全な効果は子どもが8歳に達する2004年を待たないと明確なことが分からないものの、一定の影響を及ぼしたものとみられる(Regeringens skrivelse 1996/97:41)。
1996年1月1日から、国の財政赤字による縮小対策のひとつとして医療保険、(両)親保険、失業保険などの給付レベルが75%に切り下げられた。(両)親保険に関していえば、母親ならびに父親月(合計30日間)には85%、残りの9か月が75%、最後の3か月間の一律保証額は一日60クローネである(Var trygghet,1996)。

 

4.4 介護手当金と障害児家庭への援助

スウェーデンの障害者政策の目的は、機能障害をもつ子どもも自毛で家族とともに生活し発達する権利の保障におかれてきた。したがって、障害児を持つ家族は家庭内外の両方において特別な援助を必要とするものである(SOU 1972:34)。
親が障害児を家庭で育てることができるように、障害による養育困難を考慮して1964年介護手当金制度が導入された。子どもの健全な発達環境の保障とという観点から、自らの家庭において親のもとで成長することは重要な意味をもつことが強調された。それでなくても親は就労生活から遠ざからざるをえず、しかも多くの犠牲を強いられるために、施設ケアを選択せざるをえない現実が指摘された。
導入当初の手当金は基礎額(毎年スライド式に算定される年間生計費で、年金や他の手当金の算定基礎となる)の60%であった。今日の介護手当金制度は、子どもが16歳に達するまで適用され、親や子どもの収入には無関係である。ニーズは隔年ごとに認定される。1996年現在の介護手当金は基礎額の250%、年間90,500クローネである(Var trygghet,1996)。また、子どもが16歳に達した時点で、早期年金給付に切り替えられるのが普通である(Elmer,1996)。
従来の知的障害者特別ケア法にかわって、1994年機能障害者援助・サービス法が

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION