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年頃であった。合計特殊出生率が1.7を記録した1935年、人口問題委員会は母子保健サービスの提案を行ない、1937年、すべての人に対して無料で提供される妊婦ならびに小児保健センターの設置が国会で可決された。
現在、妊婦保健センターは産婦人科医と助産婦の専門職員によって、小児保健センターは小児看護婦が中心になって構成される。小児保健センターのほとんどが初期医療サービスを行なう地域保健医療センターに統合されているのが普通である。母子保健サービスは現在でも無料で提供され、定期的な母子健診などの保健活動を行なう。また、妊婦保健センターでは性病予防や妊娠時の病気に対する治療も行なわれる。
出産は、県立病院の分娩科で行なわれるのが普通である。出産は従来無料であったが、1993年から入院医療と同じ1日80クローネが本人負担として支払われることになった(注=1日の入院経費は一人当たり約2000−5000クローネであり、税金が大幅に還元される。1クローネ=約17円、1996年現在)
すべての新生児は、分娩科や国民登録統計からの届け出により小児保健センターに登録される。新生児の保健環境のコントロールという観点から、誕生後すぐに家庭訪問が担当の小児看護婦によって行なわれる。また、予防接種も小児保健センターの重要な任務のひとつである。さらに諸々の理由により養育困難な子どもに対する相談も行なわれる。小児保健センターが対象とするのは就学前児童(0−6歳)で、乳児や1歳児の利用率は100%に近い。また、妊婦の90%が妊婦保健センターのサービスを利用するものである(Elmer,1994)。

 

4.2.2 公共保育事業

保育事業は、親が子どもの養育と就労を両立させるための重要な公共サービスであり、出生率を左右する重要な要因のひとつとしてみなされる(P<0.0001,SCB1994:2)。現在の保育事業の理念と目的を確認したうえで、現在に至る保育事業の発展過程をみてみたい。

 

公共保育事業の目的:
社会庁(1994:4)は、スウェーデンの公共保育事業の基本的原則ならびに目的を次のようにまとめている。
●公共保育の任務は、子どもに安心でしかも刺激のある発達環境を家庭の補足として提供し、子どもの総合的な人格形成のためのよい前提条件を保障することにある。
●保育事業は子どもの親との密接な連携によって行なわれるべきである。親は選択の自由と、子どもの受ける保育内容に対して影響を与える可能性を保障されるものである。
●民主主義、連帯、平等、責任が保育事業の理念ならびに目的である。

 

 

 

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