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3.スウェーデンの家族政策の特徴と目的

 

3.1 家族政策とはなにか

家族政策の目的はさまざまであり、またその幅も広い。家族のとらえかた、家族構成員の権利と義務、家族への国の介入はイデオロギー的なそして道徳的なコンテクストに深くかかわってくるものである(Wennemo,1996)。子どもの扶養そして健全な発達環境を保障する養育責任は、家族内において、また家族と公共の間で分担されるのが、先進国における一般的な方法である。また、国と家族の責任をめぐる矛盾は、往々にしてその国の家族政策議論を象徴するものである。
スウェーデンの家族政策の目的は、すべての子どもに対する健全な発達環境の保障と男女平等の促進におかれてきたといえる。社会政策が、たとえば疾病、老齢、失業時の所得喪失保障にみられるように、人々の生活困難を縮小することに目的をおくのに対して、家族政策は市民の家族形成に対する考え方や価値観あるいは生活パターンに影響を及ぼすことに焦点をおくものである。たとえば、出生率の上昇は先進工業国においてポジティブなものとしてみなされ、家族政策の目的のひとつをなすものである。しかし、多くの国が目指してきたのは、社会的地位が安定し、親としての責任を自覚する家族における出生率であって、貧困家庭や単身世帯における出生率の上昇は社会問題としてみなされてきたといえよう。
スウェーデン家族政策の発展を促してきた背景としてLindberg&Nordenmark(1980)が指摘するのは、社会変化、子どもに対する見方の変化、子どものニーズと政治イデオロギーの三要因である。両者はこれらの要因を区別し、発展を促したのは家族政策の政治的目的達成の結果というよりも、むしろ社会の構造的変革によるということを主張するものである。スウェーデン家族政策の歴史的発展と役割を、社会の構造的変化という視点から分析するとき、
1.貧困対策
2.人口政策と所得の均等化
3.男女平等の促進
の三つのテーマに分類すると理解しやすいLiljestrom(1977)。

 

3.2 貧困対策

有子家族への資源の再分配がなされないかぎり、子どもの平均的な生活水準は成人のそれよりもはるかに下回ることになる。したがって、貧困対策はスウェーデンの家族政策の重要な目的のひとつとして位置付けられてきた(Wennemo,1996)。

 

 

 

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