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1.スウェーデンの出生率動向と本研究のねらい

 

はじめに、今世紀初めからのスウェーデンの合計特殊出生率動向をみてみたい。1900年の出生率は4.0であったのが、その後低下を示し、1930年代に入ってから2.0を切り、1935年には1.7を記録するにいたった。その後出生率は上昇し、1960年代半ばにいたるまで比較的高い出生率(2.0をはるかに上回る)を記録した。しかし、再び低下傾向をたどり新たな低出生率時代を迎えることになった。少子化現象はヨーロッパ諸国共通のものであるが、スウェーデンのそれは他の国々に比べて一足早いスタートを切り、またスピードそのものも早かったことが指摘される(図1)(Hoem&Hoem,1996)。しかし、ここ20年間におけるスウェーデンの出生率動向は他の国々と大きく異なるものである。
1970年代半ばからずっとヨーロッパ諸国が低出生率(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、スイスは出生率平均1.5−1.6)を継続してきたのに対して、スウェーデンは1980年代後半、劇的な出生率上昇を記録し、国際的にもユニークな発展を遂げた(図2)。イタリアやスペインなどの出生率は80年代半ばから極端に低下し、1992年には1.2−1.3に達している(SCB1994:2)。
女性就業率が世界一高く、非婚姻(事実婚)家族が一般化し、家族解消率(離婚・

 

図1 合計特殊出生率の推移:1900−1996年

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出所:Stenflo、1996 p.13

 

 

 

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