日本財団 図書館


 

はじめに

 

今後21世紀初頭にかけて本格化するわが国の人口高齢化は、特に大都市圏で加速的に進行することが予測されており、これに伴い市民の生活環境も大きく変化すると推測されております。

本調査研究は、今後に予測されている大都市圏の高齢化社会事情について考察するため、わが国の将来推計人口で、65歳以上人口の総人口に占める割合が20%を超え、かつ75歳以上人口が10%を占めると予測されている西暦2010年を目安に、大都市の市民構造、市民生活に関連する推計および社会変化について研究するものです。そして、そのモデル調査研究としては、北九州市並びに仙台市の協力が得られ、両市における今後の高齢化社会変化に関して研究作業を行い、西暦2010年における両市の市民構造、市民生活関連の推計と主要な社会変化について両市それぞれ別個にとりまとめを行いました。

なお、この調査研究においては、丸尾直美・慶大教授が中心となり、人口・世帯、家計・消費、生活環境、ライフスタイル、等々を専門とする研究者が協力して研究作業を行っており、この報告書は、その研究成果の主要な内容のみを研究手順に従い編集したものです。

少々付記すれば、これまで大都市では全国に比べて高齢化の進行が遅いと言われてきましたが、既に北九州市が全国水準を追い越してしまったように、一旦都市が高齢化するとスピードは極めて速く、特に高齢世帯等は急増する状況です。そういう意味では、現在未だ若いとみられている仙台市といえども高齢世帯の急増化は始まっています。そして、本調査研究では、人口構造、世帯構成の変化の尺度をもって、市民の家計・消費、生活行動、年齢別市民意識などの多様な変化を両市それぞれに考察していますが、その調査研究の手法は同じですから、両市のとりまとめを最後に比較してみるのも興味深いところです。本調査研究は、北九州市は福祉サイド、仙台市は生活環境サイドに多少視点を置いた高齢化社会の調査研究でしたが、両市の市民意識にみられるように、これまで両市が進めてきている福祉サイドからの「福祉のまちづくり」も、環境サイドからの「環境都市

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION