ご挨拶
第七管区海上保安本部長
柳田幸三

新年あけましておめでとうございます、社団法人九州北部小型船安全協会の田中丸会長をはじめ会員の皆さまに、新年のご挨拶を申し上げます。
会員の皆様には、平素から海上保安業務に格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。
貴協会は、創立以来、田中丸会長を始め会員の皆様方のご努力により、順調かつ健全に発展し、今日に至っていることに対しましては大変喜ばしく思っております。
さて、ご承知のとおり海上保安庁では、海上における人命や財産の保護、海上における治安の維持、海上交通の安全確保などの仕事を担当しておりますが、我々の限られた勢力では十分に国民の皆様の期待へ応えることが難しい状況となっております。
前年は、7月20日が「海の日」として国民の祝日に制定された画期的な年であり、例年、秋に行っていた全国海難防止強調運動をこの時期に実施することとなり、国民の皆様に対するアピール度が従来に増してさらに高まったと実感いたしております。
近年、海洋レジャー活動は、益々隆盛の一途を辿っており、これに伴いプレジャーボート等の海難事故件数も増加傾向にあり、各種の迷惑行為などの諸問題もクローズアップされています。当管内における平成8年のプレジャーボート等の海難隻数は98隻で、咋年に比べ25隻増加し、全海難に占める割合は約32%と依然として高い割合を占めています。最近の特徴としては、遊魚中のプレジャーボートと漁場からの帰投中あるいは移動中の漁船が衝突する事故が多く発生し、死亡行方不明者も出しています。
これらの海難事故や迷惑行為の多くは、海に関する基本的知識や運行マナーの欠如が主な原因となっております。当管区では、本年も海洋レジャーの健全な発展と事故防止を重点課題として位置づけ、関係者を指導しておりますが、プレジャーボート等の在籍数も多く、海域も広大なため極細かな指導が難しい状況にあります。これらの海難防止活動をより実効あるものとするためには、貴協会と当管区本部及び各海上保安部署が一体となった活動が有効でありますので、皆様方のご支援とご協力が是非とも必要であります。
一方、貴協会におかれましては、事業の充実・強化を図り、地域に密着した安全思想の普及を行うため、財政基盤を確立することが急務であると考え、平成7年度から九州北部地区の臨海部157の地方自治体に対して賛助会員への加入促進を強力に推進されていると伺っておりましたが、今般、これまでに多数の市町村等から入会があったとの報告を受け、そのご努力に敬意を表するとともに、大変意義深いことと思っている次第です。
また、平成7年の阪神淡路大震災及び今年当初に発生しました島根県沖のロシア船籍のタンカーによる重油流出事故では、地域住民と共に身を呈した各種ボランティアによる救援活動が展開され、その重要性と必要性は社会的に高い評価を得ているところであります。そのような意味から、プレジャーボートの安全に関し、豊富な知識と経験を有するボランティアの自主的な活動の組織母体として貴協会に対する期待は益々高まるものと思いますが、地域のニーズにしっかりと応え、多大な成果を上げられるものと期待しております。
当管区本部といたしましても、貴協会の事業の充実・発展と皆様方の活動に、できるだけのご支援とご協力を申し上げる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
最後になりましたが、皆様方のご健勝と貴協会の益々のご発展を心から祈念いたしまして新年の挨拶といたします。