?保存をネットワークするために
以上の保存活用を実現していくために市内外の協力が不可欠である。そのために、知ること(情報)が最も大切であり、そして交流、実践というプロセスをシステムづけることが必要である。
<知ること>
まず内外に舞鶴市の赤煉瓦建造物の実態を知ってもらうことが第一である。そのため、既に「赤れんが博物館」という核施設があり、各種パンフレットもあるのでそれを活用する。今回の調査台帳ができたのを機会に正確で使いやすい「赤煉瓦建造物リストと地図」を作成し、販布する。これには赤煉瓦建造物散策ルートマップという考え方もいれたい。そして、単に分布地図とするだけでなく、徒歩版、自転車版、自動車版を用意し、食事場所や駐車場などのきめ細かい情報もいれるようにしたい。それとともに、赤煉瓦建造物として登録物件となったものには、銘板と説明板の設置を行い、訪れた人にわかりやすく説明できるようにする。この時、工場内や防衛施設内でも日時を限定しても公開できるような工夫が欲しいところである。
さらに、当然のことながらその他の広報・公聴システムやニューメディアを活用したPRも努めるとともに、積極的に市民、全国各地への発信をを行うことが大切であろう。
<交流>
前述して「知ること」の施策が、交流の第一歩であるが、それに加え、全国各地の先進的まちづくり地域との交流、専門家との交流、観光客や市民との交流機会の創出に努めていくことが大切であり、特に今まで行われてきた「赤煉瓦サマー・ジャズ・イン舞鶴」や「赤れんがフェスタin舞鶴」は重要なイべントとして継続が必要である。これをさらに赤煉瓦のネットワークとして舞鶴の全域に展開していく方法を探る必要があろう。
<実践>
舞鶴の赤煉瓦建造物の保存は一握りの市民運動からはじまったといえる。その後、市が積極的に保存活動にのり出すに至ったが、現在も各種イベントに対するボランティア的市民運動のカは大きいものがある。全国のまちづくりの展開をみる時、行政主導から市民主導へ流れが映りつつあり、その方が成功している事例も多い。舞鶴でもその市民運動の伝統を活かし、それを積極的に育てていくような展開が望まれる。具体的には、赤煉瓦建造物に対する調査、企画、計画といった段階からの住民参画のシステムをうまく創り上げることが必要であろう。それとともに、多くの市民が参画できる見学会やシンポジウム、イベントの創出に今後とも力を注ぐべきであろうと思われる。