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3.9 水圏計画研究所(Akvaplan-niva)

Akvaplan-nivaは1984年に創立され、NIVAが予算の51%を出資している半官半民のコンサルタント会社で、40名程の研究者がノルウェーの極域の環境汚染モニタリングや養殖環境の管理などに関連した仕事に従事している。1998年にトロムソに設立される予定の極域環境センターの中に、極域研究所その他の関連機関と一緒にその機構の一部として組み込まれることになっている。1989年に開始されたAMAP(Arctic Monitoring and Assessment program)では、極域における海氷や堆積者、魚類などの生物の重金属や油、さらには放射性廃棄物などによる汚染の実態について継続的な調査が行われている。現在のところ、北海やバルト海に比べれば汚染の程度はきわめて小さいが、放射性廃棄物による環境汚染は将来的に危惧される問題の一つとなっている。

3.10 ノルウェー極地研究所

環境省に直属の研究機関で、極域の環境保全に関連するAEPS (Arctic Environment Protection Strategy)やCAFF (Conservation of Arctic Flora and Fauna)などの国際的な活動においてノルウェーで中心的な役割を果たしている。以前はオスロにあったが、1998年までにトロムソにその機能を移転させることになっており、既に一部が移動している。オゾン層の破壊や油田開発、放射性廃棄物の不法投棄、河川や大気を経由した種々の汚染物質の流入、さらには乱獲などの人為的なインパクトから、極域の環境や生態系を保全するため、他の沿岸諸国と連帯しながら環境監視と環境管理を行っている。まだ人為的な影響が比較的小さい極域の多様性に富む生産力の高い生態系を将来にわたって保全することは、地域規模あるいはグローバルな環境変化の判定基準となるリファレンスシステムを確保する意味でも重要と考えられており、そのための具体的な行動計画も検討されている。なかでも、環境保護地域(Protected Areas)の拡大による環境保全の推進はきわめて有効な方策の一つとされており、CAFFの活動の中でノルウェーが中心となって各国の現状のとりまとめと国際的なネットワークづくりを進めている。

3.11 ノルウェー漁業省海洋研究所海洋環境部

面談したSundby博士とStiansen氏は、とくに海洋乱流がプランクトンの生産や仔魚の摂餌機会に及ぼす影響や効果について研究を進めておられた。これまでの調査データの解析により、風が強く吹いて乱れが大きくなった状態の方がマダラの仔稚魚の摂餌成功度が高くなることが確かめられている。仔稚魚期の死亡率はマダラ資源の変動要因として非常に

 

 

 

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