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IV−(2) パネルディスカッション(第1ラウンド発言要旨)

 

各種相談員制度

 

平松 毅

(関西学院大学法学部教授)

 

日本で行政相談はどういう社会的機能を果たしているかについて、考えてみたいと思う。今日、日本は急激な経済成長を達成したが、これに伴い、西欧先進諸国との間に多くの摩擦を生じている。その結果、日本の経済力あるいは競争圧力を削減するために、日本国内の様々な問題が西欧の新聞雑誌に取り上げられ、偏見に満ちた批判の対象となっている。このことはわれわれの目にはとまらないが、外国の雑誌や新聞記事をみると、目に余る記事が沢山ある。最近、アメリカの元国防長官ワインバーガーが2007年に日米戦争が発生するというドラマを発表した、との記事があった。日本人には荒唐無稽に思われるが、日本人に対する多くの偏見に塗り固められた西欧人には、ある程度現実味があるのである。

ところで、西欧人が日本についてほめていることが一つある。それは、先進諸国において、共通して犯罪が著しく増加し、訴訟などの紛争が増大しているのに対し、日本ではなぜ少ないのかという点である。このことは、アメリカなどにおける紛争の実情をみると、考えなければならない問題であると思われる。アメリカのある州では、犯罪による判決があっても、刑務所が満杯であるために、刑務所が空くまで自宅待機を命ずる例があるとか聞いている。

また、アメリカでは、民事紛争についても、裁判を提起しても、裁判にかかるまでに2〜3年待たなければならないために、裁判ではなく、民間における紛争処理機関Al−ternative Dispute Resolutionが広く機能しており、紛争解決が民間企業として成り立っているという現状があり、アメリカの企業と取引をしようとする日本の企業は、予め、紛争が生じた場合にはどういう形式で紛争を解決するかについて協定をしている。このような実態を見ると、紛争多発にどう対処するかということは、真剣に考慮されなければならない問題だと思われる。この点、われわれが外国に行くと、向こうの学者に「なぜ日本には紛争が少ないのか」とよく尋ねられるが、それに対してこれまでは、日本には家族制度の名残があるからでないかとか、日本人は紛争を好まないからだとか、法曹人口が少ないからだとか、いわば、日本人の国民性に帰するような意見しか出てこなかった。しかし、これを日本人の国民性に帰した場合には、それは日本人特殊論として、日本人は西欧人と異なり、腹芸で意思疎通する国民、表と裏のある国民、すなわち嘘をつく国民だから、日本を変えるには外圧しかないという結論が引き出されたのである。

しかし、われわれが世界に貢献するためには、日本人特殊論ではなく、西欧においてもモデルとなるような理論や制度を提案しなければ、日本人は、これからもますますい

 

 

 

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