短期的な相談は、どちらかというと案内事案的な要素が多く含まれ、国や都道府県、市町村がどのような施策を行っているかについての情報提供であるとか、電気・ガス・水道がいつから使えるようになるのか、また鉄道がいつどこまで復旧するのか、さらにどの金融機関が営業しているのか、郵便貯金通帳がなくなったけれども、貯金を下ろすことができるかといった部類の相談が多く見られると考えられる。 それに対して長期的な相談は、多種多様であり、実際国などの施策が十分に適用されないといった苦情も含まれうるし、また区画整理や建築規制に関して、なぜ以前と同じ建物を建てることができないのかといった苦情もありうる。これらの極めてデリケートな問題にどのように対応できるかによって、行政相談の真価が問われる事態があることを十分に認識しておきたい。今回、総務庁では被災後1年間に寄せられた多分野にわたる約1万3千件の相談を取りまとめた「阪神・淡路大震災−行政相談事例集−」が作成されたが、これを分析することによって、さらに正確に傾向を把握することができよう。 ウ.各種の相談窓口との連携の確保 災害の復旧のためには、極めて多様な相談窓口が開設されることになり、それぞれの問題ごとに対応する相談窓口が政府機関においてだけでも複数開設される可能性があり、さらに都道府県や市町村の相談窓口も必ず開設されよう。従って多数の相談窓口が開設される状況下では、いわば的確な交通整理が必要であり、市民が間違った窓口に行った場合、すぐに本来行くべき窓口はどこか道案内することが重要である。そのためには各窓口の担当者が、他にどのような窓口が開設されているのか、またどの問題はどの窓口で扱っているのか熟知しておく必要があり、そのためにも各種の相談窓口との連携の確保が重要な課題である。 また特別行政総合相談所では、国の施策だけでなく、都道府県や市町村、あるいはその他民間団体を含めた各種機関による支援情報を総合的に収集し、問い合わせには総合的に情報提供を行ったり、必要に応じて的確な窓口への誘導を図る必要があろう。 (3)多様な相談所の開設と的確な運営 ア.多様な相談所の開設 震災後には、当然多様な相談所が開設される。そこで問題となるのは、様々な問題について専門家やそれぞれの担当職員が集まるということは、とにかく初対面の人々によって、一つの相談所が開設され、構成されるということでもある。従って総合相談所や定期的な特別相談所等を開設する際には考えなければいけないことは、この寄り合い所帯に、どのようにすれば一定の秩序を立てることができるかということとどうすればその運営をうまく行うことができるのか、その運営の在り方についてである。
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