平成8年4月
通商産業省
【検討の背景及び経緯】
○我が国の情報化については、現在まで、EDI(電子データ交換)、EFT(電子決済)などを始めとした産業の情報化を中心に進んできたところであるが、パソコンの急速な普及によって一般家庭においても情報化がかなり進展しつつある。
○このような状況の下、電子商取引についても、?@従来であれば特定の企業間で限定して行われていたものが、一般消費者を含めた不特定多数の者がネットワーク上で取引を行う時代が始まりつつあるとともに、?Aその内容も単に受発注データのやりとりだけでなく、宣伝、広告、ネゴシエーション、契約、資金決済など商行為全般に及ぶようになってきている。
○しかし、電子商取引は従来の紙をぺースとした取引と異なり、ネットワーク上で意思伝達を行う形態であるために、既存の商慣行や制度がそのまま適用可能かどうかがはっきりしない点が多く、そのために、電子商取引に対して漠然とした不安感があり、今後の発展が阻害されるおそれが出てきている。
○こうしたおそれを払拭し、電子商取引を一つの商取引として確立していくためには、従来の取引との違いを明確にし、技術面から取引の安全性を高めることは勿論、制度面でも必要な商慣行の確立や制度の整備等を行う必要がある。
○かかる観点から、本研究会では、電子商取引に係る様々な課題について、昨年4月から鋭意検討を進めてきたところであり、今回、中間報告として、各ビジネスプロセス(市場参入/宣伝・広告→引き合い・交渉・契約→決済)及び電子商取引全般において、問題となる可能性のある課題とその論点を整理したものである。
【本報告書の位置づけ】
○これまで、商取引における多くの課題は、現実の取引が数多くなされていく中で、商慣行という形で解決、整理されてきた。電子商取引についても、今回あげた論点の多くは、実際に電子商取引が行われていく中で、例えばネットワークに対する国民一般の信頼度やパソコンの普及率など、その時点での様々な状況を総合的に勘案しつつ、解決の方向性や必要な制度的な対処のイメージが見えてくるものと考えられる。