現在、大蔵省による外為法改正の議論や政府による金融制度改革、日銀法改正の議論等各種金融制度改革に関する論議が盛んになってきており、日本の従来型の金融システムが大きく変わろうとしている。これにより取引の監督体制、制度的枠組みといったものも変貌を遂げようとしているが、こうした動きは電子商取引に関する法制度整備にも影響してくる可能性がある。特に外為法の改正に関しては為銀主義*2の撤廃は、銀行を通さない取引を考える場合、極めて重要な意味を持ってくると思われる。法制度整備を行う際には、制度改革の趨勢にあわせて監督機関を明確に定め、責任の所在を明らかにしておくことが必要であろう。
(1)外為法改正
大蔵大臣の諮問機関である外国為替等審議会は、為銀主義の撤廃と外為取引の報告義務の簡素化を柱にした外為業務の規制緩和を打ち出している。現在の外為法では、大蔵省の認めた外国為替公認銀行を通すことなく国際取引をすることは不可能であったが、この改革が実現すれば、日本の投資家は自由に海外の金融機関と取引ができるようになる。この結果、今までの国際貿易の雛形は根底から変わらざるをえないであろう。このような動きは、世界中の人々が、取引相手間の距離や店舗の場所に縛られない取引を行える電子商取引にとって大きな意味を持つことになる。つまり、為銀主義が存続している間は、電子商取引の取引システムも必ず為銀を通したシステムである必要があったが、そのような制約を気にせずに大きな自由度をもって、取引の利便性を中心に考えたシステムを構築できることになるからである。また、逆に電子商取引によって為銀主義の撤廃の効果がより発揮