(5) その他電子商取引全般に関わる問題
?@ 電子データの証拠能力・証拠価値
民事訴訟法では、訴訟に提出された資料には、その証拠能力に関して特に制限を設けていないため、電子データに関しても証拠能力を有すると考えられている。ただし、民事訴訟法では、民事訴訟の手続上、契約書のような文書を裁判所に提出する場合には、原本、正本または認証ある謄本でなければならないとしている。つまり電子データにとっては、何をもって原本とすべきかという問題が生じる。これについては、電子データは通常の媒体に記録されている限りは何度でも書き換え可能であり、しかも書き換えの跡が残らないという点で、いわゆる原本の概念からは外れるという考えがある。
いずれにしても、これらの点に関しては法制度により明確に定義しておかないと、後述する重要書類の保存等の論点に関してもあいまいなままになり、取引関係者の不利益となる可能性がある。