日本財団 図書館


 

(5) その他電子商取引全般に関わる問題

?@ 電子データの証拠能力・証拠価値

民事訴訟法では、訴訟に提出された資料には、その証拠能力に関して特に制限を設けていないため、電子データに関しても証拠能力を有すると考えられている。ただし、民事訴訟法では、民事訴訟の手続上、契約書のような文書を裁判所に提出する場合には、原本、正本または認証ある謄本でなければならないとしている。つまり電子データにとっては、何をもって原本とすべきかという問題が生じる。これについては、電子データは通常の媒体に記録されている限りは何度でも書き換え可能であり、しかも書き換えの跡が残らないという点で、いわゆる原本の概念からは外れるという考えがある。

いずれにしても、これらの点に関しては法制度により明確に定義しておかないと、後述する重要書類の保存等の論点に関してもあいまいなままになり、取引関係者の不利益となる可能性がある。

 

民事訴訟法 第322条(文書提出の方法)

文書ノ提出又ハ送付ハ原本、正本又ハ認証アル謄本ヲ以テ之ヲ為スコトヲ要ス

?A 裁判所ハ前項ノ規定ニ拘ラス原本ノ提出ヲ命シ又ハ送付ヲ為サシムルコトヲ得

?B 裁判所ハ当事者ヲシテ其ノ引用シタル文書ノ謄本文ハ抄本ヲ提出セシムルコトヲ得

 

?A 重要書類の保存

商法、法人税法では帳簿及び営業に関する重要書類は数年間にわたって保存しておくことを義務づけている。

 

商法 第36条

商人ハ十年間其ノ商業帳簿及其ノ営業ニ関スル重要書類ヲ保存スルコトヲ要ス

 

法人税法 第150条の2

普通法人、協同組合等並びに収益事業を営む公益法人等及び人格のない社団等(青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている者を除く。次項において「普通法人等」という。)は、大蔵省令で定めるところにより、帳簿を備えつけてこれにその取引を大蔵省令で定める簡易に方法により記録し、かつ、当該帳簿(当該取引に関して作成し、又は受領した書類及び決算に関して作成した書類で大蔵省令で定めるものを含む。次項において同じ。)を保存しなければならない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION