書を作成し、かつ、これらの電子文書を保存し、その存在、内容等を証明する制度である。この場合、認証を行う機関としてはどのような機関が適当か、認証機関の持つ権限と義務、トラブル発生時に負うべき責任はどの程度にすべきか、また、現在数多くの民間機関が認証業務に参入しているが、その場合それらの機関にどのような監督・審査を受け入れさせるべきか、等規制対象として多くの点を法制度として整備すべきであり、検討を要すると思われる。
法務省はこれらの点に関して検討を進めているが、認証機関としては、法人用電子証明書の発行には、現在会社に関する登記情報を管理している商業登録所またはこれと直結した機関等の認証局が対応し、個人用電子証明書の発行については公証事務を行う公的な機関が行う、という制度を検討している。
(3) 決済に関する問題
?@ 電子マネーの位置づけ
電子マネーの導入にあたっては、電子マネーの債務者(発行者)は誰なのか、あるいは債務を履行させる方法はいかなる方法をもって行うのか、に応じて対抗用件及び時効等の定め、紙幣類似証券取締法、出資法等との関係を整理する必要がある。
a) 電子マネーの発行
電子マネーの発行を誰に認めるのか、という問題は電子マネーの位置づけによっても異なるが、少なくともその信頼性や安定性が確保されていない限り、電子決済・電子商取引の普及は難しいと考えられることや、国の金融政策や外貨準備高の把握等とも絡んでくる問題であることを考慮すると、きわめて重要な問題であると思われ、十分な議論の後、法制度化されることが望ましい。
紙幣類似証券取締法では、「一様の形式を具え、個々の取引に基かずに金額を定め、貨幣と類似の作用を持つ、多数に発行される証券」の発行・流通を禁止している。電子マネーがこのような用件を満たすものと判断されると、電子マネーの発行そのものが認められないことになる。
また、出資の受け入れ、預り金及び金利等の取り締まりに関する法律(出資法)によると、業務としての預り金をする際に、他の法律に特別の規定のあるものを除いては、不特定多数のものからの出資、預り金としての性質を持つものを受け入れてはいけないことになっている。