しかしながら、承諾の意思が回線故障等により申し込み側に届かなかった場合や、送られてきたデータが読み出し不能であった場合等を考えると、この考え方は必ずしも適切ではないと思われる。また、日常的に取引を行う相手同士の場合等は承諾意思の通信コストを避けるために、発注意思の受信時をもって契約とするという単方向のシステムもまた一概に否定されるべきものではない。このように考えると契約の成立時期に関しては検討の必要があるといえる。
参考までに付け加えると、財団法人日本情報処理開発協会の協定書においては、申込の受け手の承諾意思を申込側が受信した時点をもって契約の成立とみなしている。
?A 契約内容の無効・取消
民法では意思決定過程において錯誤のあった場合には法律行為、あるいは意思表示を取り消しうるものとしている(民法第95条)。また、禁治産者や未成年者等行為無能力者が単独で行った行為についても取り消しうるものとしている(民法第4条2項、第9条、第12条3項)。