今後、情報化の進展に伴い、情報提供方法・情報入手方法の双方が充実してくると予想され、情報内容が限定されることは、社会全体の流れに逆行する動きであると思われる。医療機関等が提供する情報内容については、今後規制の緩和を目指す必要がある。
(2) 医療の電子情報化にあたっての留意点
?@ 情報技術の水準の保証
医療分野で誤った情報が提供された場合、誤診等を招き人命にも影響を及ぼす可能性がある。こうしたことから、医療分野の情報技術では、診療等に必要な情報が誤りなく提供される必要があり、一定の技術水準を満たしていることが保証されている必要がある。
医療画像については、既に規格が完成しているが、他の技術についても今後、一定の規格が必要になると思われる。
?A システムの標準化及び、病名・記載方法の標準化等による共通システムの構築
医療分野の情報化では、今後の少子高齢化社会の進展に合わせた医療法の改正等の動きに合わせ、医療機関間の連携も視野にいれたシステムの構築が必要である。そのためには、一医療機関内で完結したシステムも目指すのではなく、ネットワーク化を目指し、システムの標準化、及び病名や記載方法の標準化等も実施する必要がある。
?B プライバシーを保証できる法的取り決めの必要
医療分野の情報は、病歴、家族等、極めてプライバシーに深く関わった情報である。そのため、関係者以外にはアクセスできないような取り決めを作成することや、システムの構築を義務づける等、プライバシーを保証する法的な措置が必要である。
?C 情報公開を前提とする
プライバシーは保証される必要があるが、自分の病気や治療等、知りたい情報については医療関係者から十分に得られることが前提となる。医療分野の電子情報化は、インフォームドコンセントの推進を支援する方向で実施することが必要である。
?D 医療サービスの向上を大前提とする
インフォームドコンセントの推進と同様、医療分野の電子情報化の推進は、医療サービスの向上となる方向で進められるべきである。電子情報化の進展によって、逆に手続きが煩雑になったり、情報機器の操作が苦手な人等が取り残されないよう留意する必要がある。