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2−3−2 医療の電子情報化の課題と留意点

(1) 今後解決されるべき課題と方向性

?@ 「記載」を電子媒体への「記録」とする

現在、カルテについては医師が診療を行った場合に遅滞なく「記載」することが義務づけられている。今後、電子カルテ等が普及する場合には、紙媒体を前提とした「記載」は適当とは言えず、紙媒体及び電子媒体の双方を含めた「記録」とすることが適当であると思われる。こうした対応には、法改正の必要性もあると思われる。

また、電子媒体へ「記録」した場合については、紙媒体よりも改ざんが行われやすいという問題や、本人を確認する記名押印等が行えないことから、改ざんの防止についての取り決めや、また電子署名を行う等の対策また規定も行う必要がある。

?A 記名押印または署名を、電子署名等の電子媒体で本人確認手段に変更とする

現在、処方せんは医師や薬剤師の記名押印又は署名が必要であるとする観点から、電子化することができずにいる。医療サービスの効率化、サービスの向上等を目指す観点からも、処方せんの電子発行は必要であると考えられ、今後、電子署名等、電子媒体で行える本人確認手段に変更する必要がある。

?B 紙の保存に限定せず、電子媒体での保存も認めるべき

現在、カルテ、レセプト等は、紙による保存が義務づけらており、電子媒体で作成した場合にも、紙で保存を行っているケースが多い。こうした義務づけは、医療に関する業務の効率化を妨げる要因となっており、資源・労力ともに浪費をしていることになる。

こうした観点から、電子媒体での保存が認められるべきである。

現状、医療画像については、一定基準を満たした規格に合った機器を利用している場合については、電子保存が認められているが、カルテについては「改ざんの恐れがないことが担保される必要がある」との解釈から紙の保存が原則とされている。今後、改ざんの恐れがない基準等について、明確化を行う必要がある。

?C 患者のニーズにあった情報を提供する必要がある

健康・医療に関する情報については、多くの人が不足感を感じており(1995(平成7)年1月総理府調査)、インフォームドコンセントの広がり等に伴って、今後ますますニーズが高くなると思われる。近年は、インターネットを活用して情報提供を行う医療機関も増えているが、法的には医療機関が表示できる情報は限定されており、医療機関が提供したい情報や患者が必要とする情報を全て表示することはできなくなっている。 

 

 

 

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