日本財団 図書館


 

第  1  章

各分野における電子情報化への制度上の問題点の概況整理


 

ここでは、保健・医療・福祉、教育、行政サービス、商取引、貿易、司法の各分野における電子情報化への制度上の問題点を概観する。

 

1−1 保健・医療・福祉分野

 

保健・医療・福祉分野のうち、電子情報化への取り組みが積極的に行われているのは医療分野である。保健や福祉の分野での取り組みの中心は情報提供の電子化であり、制度上の問題点はほとんど顕在化していない。

医療分野では、遠隔医療による診断、電子カルテの利用、電子処方せん、インターネット等による医療機関の情報提供等の面で問題がある。

 

1−1−1 遠隔医療による診断

(1)概要

医師法では、診断は対面によるものを前提としており、現段階では法的には遠隔診断は認められていない。マルチメディアの発達で画面の質等は著しく向上しているが、正式な診察とは認められていず、通信ネットワークを通じた診断を実施しても、医師は報酬を得ることはできない。現段階での遠隔医療は「実験」として扱われているか、または医師のボランティアによる参考意見とされるに止まっている。

 

(2)問題となる制度・慣行

医師法第20条の規定では、「医師は、自ら診察をしないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち合わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、又は自ら検案しないで検案書を交付してはならない」と規定されており、この「診察」は対面を前提としていると解釈されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION