日本財団 図書館


 

5−2−3 業務の見直しに関する課題

 

CALS的アプローチを進めるに当たっては、現在の業務のあり方やプロセスに関して見直し、ルールを策定する必要があると考えられる。一方で、行政機関における業務にはそれぞれ特徴があり、見直すべき課題も異なる点があると思われる。

 

全体的な課題としては、総務庁へのインタビューでも指摘があったように、現在各行政機関において定められている文書管理規定は必ずしも現在の業務を正確に反映していないという点があげられる。これは、行政における文書管理がルール化されていないことを示すものではないだろうか。

次に業務分野別に見ていくと、政策立案業務では、他省庁の動きが見えにくい点があげられる。その原因としては、省庁間で情報を共有するためのルールができていない、共有すべき情報内容についての取り決めが明確でない、などの課題があるだろう。

調達業務に関しては、調達の内容とプロセスが明確になっていないという課題があげられるだろう。行政機関及び民間企業相互において、調達の手順、方法などを明確にし、文書によって示すことを検討する必要がある。

届出・申請に関しては、プロセスの明確化と効率化によって、申請期間の短縮などについて早急に取り組む必要があると思われる。

情報提供サービスでは、政策立案や指示・指導など、情報公開と密接な関係のある業務との連携が充実していないという課題があると思われる。

内部事務では、業務プロセスを見直し、情報化によって廃止または軽減できる作業や、今後新たに必要になる作業などを整理する必要がある。

 

このように、CALS的アプローチを進めるにあたっては、システムや法律の環境整備、推進体制の一元化と強力化、業務の見直しを通したプロセスの明確化やルールの策定など、多くの課題が存在することがわかった。これらの課題は実際にCALS的アプローチを開始するまでに整備しておくべき基盤と考えられ、前提条件となるものである。第5章では、これらの課題をどのように解決していくべきか、その考え方を示すとともに、CALS的アプローチの具体的方策例を示したいと思う。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION