又、情報システムヘの無権限のアクセスという課題も見られるようになってきた。欧米では行為そのものが刑事罰の対象となっているのに対して、日本では業務上のダメージがない限り、刑法上の対象とならないのが現状である。しかし、日本でも今後は無権限アクセスが増加することが予想され、適切な制限措置をとることが課題となるだろう。
5−2−2 推進体制に関する課題
現在、中央省庁では、総務庁が中心となって情報化の基本方針を定めているが、具体的な取り決めは各省庁が独自に行っているという。CALS的アプローチを行うにあたっては、中央省庁や地方自治体が連携していくことが鍵となるため、今後は統一的な体制を整備することが必要になると考えられる。
現在、中央省庁で進められている行政情報化推進計画では、総務庁が旗振り役となっている。しかし、具体的なシステムの構築や業務の見直しについては各省庁の自主性に任せられているという。
このような形で情報化が推進されていくことは、標準化というアプローチにはそぐわないものであり、将来省庁間での情報の共有化を困難にする要因が発生することが想定される。そのために民間企業が行政と情報交換する際に省庁によって仕様が異なり不便が生じる、国民が一元的に情報を得ることができない、などの問題を引き起こす可能性もあると考えられる。
CALS的アプローチを行うためには、各組織内部、中央省庁間、中央省庁及び地方自治体間、地方自治体間など、行政機関間で広く連携をとり、現在の情報化推進の体制を見直す必要があると思われる。
前ページ 目次へ 次ページ