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5−2−1 環境整備に関する課題

 

環境整備に関する課題としては、システムに関するものと法制度に関するものが考えられる。システムに関しては、パソコンの設置とそのネットワークへの接続の推進、異なったアプリケーションを用いた円滑な情報交換の阻害などが考えられる。法制度的な課題としては、情報化の急速な推進に法制度の整備が追いついておらず、従来の枠組みでは判断できない問題が生じていると思われる。

 

(1) システム環境に関する課題

現在、行政機関にはかなりの数のパソコンが設置されつつあるが、ネットワークに接続していないと情報の共有、交換は実現しない。今後は、ネットワークやデータベースの整備とその有効活用を検討していく必要があるだろう。

又、使用しているアプリケーションが一組織内においても業務ごとに異なるという課題がある。異なったアプリケーション間での文書の交換は紙によるか、又は、コンバートという作業が発生する。さらに、同一のアプリケーションを利用している場合でも、バージョンが異なると読みとれなかったり、変換時にデータの精度が落ちるという問題がある。

又、セキュリティに関してシステム的に十分な対応が行われていることは希であるとされており、この点に関しても検討が必要とされる。

 

(2) 法整備に関する課題

従来は証拠能力が必要とされる文書は紙によって保存することが義務づけられていたが、このような法律があるかぎり、情報化の推進を進めても文書の量は減少せず、管理にかかるコストや労力は軽減しないことになってしまう。もちろん、データの改ざんの防止や、証拠力の確保などを留意する必要はあるが、基本的に情報は電子的に管理することが可能になる環境が整備されることが望ましいと思われる。

この様な検討は、行政情報システム高度化専門部会で現在進められているが、電子文書での証拠能力が認められるようになる必要があるだろう。

又、電子申請に関しても同様のことが言える。従来の申請はそのほとんどが紙によって行われてきたが、これまで見てきたように、電子申請によって様々な効率化が期待されている。このような新しい動きに対応した法の整備も見直す必要があると思われる。

 

 

 

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