4−3−2 電子新聞の事例
新聞業界においても、現在、CALS的アプローチが進められている。その中で、新聞情報を電子化し、オンラインなどによって情報を提供する電子新聞という試みを取り上げたい。電子新聞ではSGMLの特性を活かし、データの一括管理、多様な検索形態の提供など、様々な効果があげられている。このような取り組みは新聞業界における新たなサービスなどの可能性を開くものと言えよう。
(1) 概要
毎日新聞社は、電子新聞システムの開発を検討してきた。このなかで、流通性及び加工の容易性からSGMLに着目し、新聞記事のDTD(Document Type of Definition:文書型定義)の試案を作成した。
同社は、SGMLで記述した新聞記事データを整備して、平成7年4月から開始されたATM網を使用したNTTのマルチメディア流通実験上に電子新聞システムを公開している。
この電子新聞の特徴として、以下のような項目が上げられる。
・最新のニュース情報をネットワークに接続されたパソコン上で読むことができる
・専門用語などの意味を検索することができる
・遡及記事をキーワードで検索することができる
・新聞のビューアとしてWWWブラウザを採用している
・電子新聞記事用のDTDを使用している
・SGML形式の新聞記事からHTML(Hyper Text Markup Language)形式の電子新聞へ自動的に編集している
システムの概念図を図4−4に示す。そこでの情報の流れとしては以下のようになっている。新聞記事と記事編成情報は、毎日新聞社の記事編成端末から一定時間毎にNTTデータ通信にある電子新聞編集端末に送り込まれる。電子新聞編集端末は、受け取った記事と編成情報から電子新聞をWWWで見られる形式に自動的に編集する。ここでは、SGMLからHTMLへの変換、検索データベースへの登録などを実施する。編集された電子新聞は電子新聞サーバで一括管理され、電子新聞操作端末から閲覧することができるという流れである。
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