3−4−4 アジア・パシィフィックの動向
アジア・パシフィックエリアの国々は、国防省を中心に国家的プロジェクトとして取り組んでいる。最も進んでいると考えられているのはシンガポールであり、様々な具体的な取り組みを実践している。オーストラリアは、CALSパシフィックを開催するなど、早くからCALSに取り組む姿勢を見せている。各国の主な動向を以下にまとめる。
シンガポール 政府機関であるNCB(National Computer Board)がIT2000(National IT Master Plan)というグランド・ビジョンを策定し、国家レベルで情報化を推進している。具体的には、輸出入の電子申告(米国の通関システムと連携)、銀行での電子決裁、医療保険の電子請求、法律事務書類の電子交換などを実現している。
オーストラリア アメリカのCALSをUSCALSと呼び、それを基準として国防省が独自の体系を構築しようとしている。又、民間を通じてSGMLの導入が進んでおり、官民の協力体制が整っている。又、CALSパシフィックを2度開催している。
台湾 国防省が既存EDI組織を支援し、CALSの組織として再編成中である。又、貿易、自動車業界、スーパーマーケットにおいてネットワークが稼動しており、SGMLについても国家レベルの取り組みを開始している。
韓国 国防省と財閥系企業が中心となってCALSの積極的な推進を行っている。EDIに関しては、その促進のための法律“貿易自動化促進法”が制定され、国営のネットワークの普及、促進が進められている。
このようにアジア各国は積極的な取り組みを国家レベルで推進している。一方、日本ではどのような取り組みを行っているのか次に見ていきたい。
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