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2−3−3 文書管理全般における問題

 

以上、行政機関の業務分野別の文書の現状についてみてきたが、それらの業務を通じて文書管理上の問題があげられると思われる。例えば、以下のようなことが考えられる。

・文書の所在や処理のルールが不明確である

・文書が紙であることが多く、その量が膨大である

・文書情報の流通・再利用が非効率である

これらの問題の要因としては、組織的ルールの問題、媒体の問題、電子化の方法の問題と3つに分けられると考えられる。これらの問題は、一部の先進的な行政機関を除いて共通した課題となっている点と思われる。

組織的ルールとしては、文書の管理に関する問題が多くなっている、文書の管理が適切に行われないと、文書が見つからない、複数箇所で保管されている、属人化していることから他の職員に仕事が見えにくい、などの問題が起こりがちである。又、業務プロセスが長いと回覧・稟議に時間がかかるといった問題もあると思われる。

媒体の問題としては、現在、パソコンの普及が進んでも一旦紙に印刷して紙ベースで取り扱うことが多いということがあげられる。それゆえ、作成から保管に至るまでの紙の量が膨大となり、資源の無駄につながる怖れもあると思われる。環境保護といった視点からも、行政から率先して紙の量を減らすことが期待されるであろう。又、紙による文書管理は時間・コスト・労力がかかりがちであるのみならず、流通に関しても遠隔地へは郵送、もしくはFAXするなどの手段に限られるが、電子メールを活用するなどの方法に比べると効率面で劣る点があると思われる。

電子化については、パソコンをシステムとしてではなく、単体として文書の清書やデータの計算にのみ利用していることも依然として多いようである。組織内において異なったアプリケーションやフォーマットを使用している場合、様々な問題が発生すると思われる。まず、異なったアプリケーション間、あるいはバージョンアップでデータをコンバートすると精度が落ちることが多く、相互の互換性で手間取ることもあって労力がかかる。又、文書はファイル単位で利用されるため、一部分のみを取り出して加工するといったことが難しいと思われる。又、複数文書で共通に使用している語句の修正の場合、その修正の影響がどこまで波及するのかの把握が難しい。さらに、共通したフォーマットでの文書の作成を心がけておかないと、将来、文書をシステム的に管理する必要が生じた際に大きな負

 

 

 

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