日本財団 図書館


 

2−1−2 文書管理の定義

 

情報化の進展に伴って文書の概念が多様化してきていることは前に述べた通りだが、文書管理においても従来の紙による管理とは考え方がかなり異なってきている。すなわち、文書管理において情報化を推進することにより、抜本的な変化が起こる可能性があると一般に考えられるようになってきている。

このように、文書と同様、文書管理の概念も情報化の推進に伴って多様化しているため、明確な定義が必要であると思われた。しかし、現在、文面化されている文書管理の概念については、共通した認識となっているようなものは見当たらなかった。よって、ここでは情報化の活用を視点に入れた文書管理についても同様に定義づけを行う。

 

現在、各行政機関では、文書管理について「文書管理規定」というものを定めている。しかし、総務庁へのヒアリングによると、そのほとんどは情報化が推進される以前に策定されたものであり、現在の業務を必ずしも反映しているものではないようである。したがって、文書管理についての共通の認識はないと考えられ、ここで明確にする必要がある。文書管理を改善するためには、まず、文書管理をどのように捉えるか、その対象範囲をどのように定めるのか等について明確にしておく必要がある。それにより、今後の文書管理の在り方を検討することが可能となり、業務の改善につながるものと思われる。

文書管理とは、業務を効率的に遂行し、業務の質を向上させるために、文書を作成から廃棄まで一定のルールを基に管理することであると考えられる。特に、行政においては文書管理の改善が、行政の意思の伝達、国民サービスの向上などに結びつくことが期待されている。

行政における文書管理を定義すると以下のようにまとめられる。

「行政における文書管理とは、行政業務の運営のために必要とされる文書を、収受、作成、供覧、保管、公開など様々なプロセスにわたり、一定のルールにしたがって管理すること」

このような様々なプロセスの明確化と効率化、あるいはルールの策定といった取り決めは、情報化の推進と同時に行われていく必要があると考えられる。次に、現在の行政における情報化の取り組み状況を見ていく。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION