2−1 文書の定義
行政における業務の改善のためには、文書の適切な管理が切り離せないものであることは前にも述べた通りである。それでは、文書とはどのようなもので、その管理とは何を指すのであろうか。文書に関して一般的に共通認識となっている定義は見当たらなかった。又、定義をしている場合にも現在の情報化の進展を視野に入れたものとはなっていないのが実状であった。
したがって、ここでは文書及び、文書管理の特性を考え、情報化の進展している現状を踏まえた上で再定義を行う。
2−1−1 文書の定義
それでは、文書とはどのように定義されているのだろうか。明治43年の大審院凡例をここに紹介する。
「文字、又はこれに代わるべき符号を用い、ある物体の上に、永続すべき状態において、特定人の具体的意志を記載した物」
しかしながら、この定義はかなり古いものでわかりづらく、又、現在の情報化の進展によって多様化した文書の概念を網羅しているとは考えにくい。したがって、文書の概念を、紙に書かれた文字という狭い範囲の意味のみならず、電子的な媒体を活用したり、図面や表といった多様な表現形式を含めた広い範囲の意昧として捉え、改めて定義することが必要である。しかし、あくまでも文書とは伝達や記録といった目的を持つ情報であり、音声や画像まで含む必要はないと考えた。
以上をまとめると、ここでは文書を以下のように定義することができる。
「文書とは、伝達・記録・共有などを目的とし、文字、図面、表などで表現された情報である」
このように、文書の概念は時代の変化に伴って変わりつつあり、それは同時に、管理の在り方も変わることを意味する。次に文書管理について考えていきたい。
前ページ 目次へ 次ページ