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報は、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」や各自治体が定めた個人情報保護条例によって保護されており、情報の利用や提供に関しては厳しい制限が課されている。特に、地方自治体の個人情報保護条例には、地方自治体間をオンラインで接続し、個人情報のやり取りをすることを禁止・制限する「オンライン結合禁止」条項が定められていることが多い。「共通窓口」の実現にあたっては、地方自治体間で住民基本台帳などの情報がネットワークを通じて授受されることが不可欠であり、このようなオンライン禁止条項のある自治体では、サービスの実現は不可能である。

共通窓口の実現には、実務的な問題もある。証明書の発行に際しては、発行権者である当該市区町村長の公印が必要になる。全国どの市区町村の証明書でも発行できるようになると、だれの名義の公印を押すかということが問題になる。

諏訪地域広域市町村圏はこのような共通窓口を実現し、圏域内市町村のどの窓口でも住民票や印鑑登録証明書の交付が受けられるようになっている。

 

5−2−3 選挙運動

パソコン通信やインターネットを選挙運動に利用することが検討されている。特に、ネットワークメディアの双方向性を生かして、候補者と有権者の間で直接意見を交換するような機能が期待を集めている。

米国では、1992年頃から選挙活動にパソコン通信が利用されている。最近ではインターネットの利用が盛んであり、大統領選挙では主要候補者はすべて独自のホームページを設置し、経歴・政策の紹介やボランティアの募集などに役立てている。

わが国でも、商用パソコン通信に「フォーラム」を開設する政治団体や、ホームページを開設する政党・議員が現れている。しかし、公職選挙法では選挙運動の方法を厳しく規制しており、パソコン通信やインターネット、電子メールによる選挙運動は同法が認める「選挙運動用文書画面」には該当しないとする考え方が一般的である。そのため、多くの議員や政党のホームページは、選挙運動中は公開を停止したり、アクセスに何らかの制限を課すなどの対策を取っている。

 

 

 

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