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4−2 地方自治体等の取組

 

(1) 住民基本台帳ネットワークシステム

「住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会」では、平成6年度より住民基本台帳を基礎とする本人確認のためのネットワークシステムの構築について研究を行ってきた。全国的な住民の移動が一般化している現状での住民サービスの質的向上と行政の簡素化を目的とするもので、平成8年3月に報告書が発表された。

これによると、「市町村単位で行われている住民基本台帳は、写しの発行や閲覧など他の行政事務の基礎となるものであるため、年間の事務量は転入・転出届け460万件、住民票の写しの交付8,400万件、公的年金など本人確認事務3,000万件にも上る。これを全国規模のネットワークとすれば、全国どこの窓口でも本人確認ができるようになり、事務手続きの簡素化、効率化が図れることになる。1995年4月1日現在、住民基本台帳の電算化は既に人口の98.7%をカバーしているため、物理的に困難ではない。住民の移動や交流が一般化している現状では、市町村や都道府県の枠を越えた本人確認のためのシステムが必要であり、そのためには全国共通のシステムを同時期に確立する必要がある。」と住民基本台帳ネットワークシステム構築の必要性を指摘している。

住民基本台帳ネットワークシステムのイメージは次のようなものである。まず、新たに全国単位センターと都道府県センターを設け全国の市町村と専用線で接続する。市町村の保有する住民基本台帳のデータのうち、氏名、住所、性別、生年月日の4項目とコード番号を都道府県と全国単位のセンターに送り、他の行政機関への情報提供はセンターからのみとし、市町村の住民基本台帳には外からアクセスできない。コード番号から個人情報が判別できないように設定し、正当な理由があれば個人の申し出で変更できる。ただし、現行の住民基本台帳法では、台帳の閲覧と住民票の写しの交付以外には他の行政機関への住民基本台帳情報を提供できないので、システムの実現には法の改正が必要である。また、このシステムを応用し希望者に住民基本台帳カードを発行すれば、オフラインでも本人確認が可能になり、高度なサービスヘつなげることが可能である。

 

住民基本台帳ネットワークシステム導入により、期待できる効率化やサービスの向上には次のようなものがある。

 

 

 

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