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経済新聞96年10月4日)。

電子的な情報公開を行うには、提供される情報が電子化されていなければならないが、最近ではほとんどの情報がワープロやパソコンで作成されていると思われるので、新たに電子化の作業が生じる部分は少ないはずである。このような電子的な情報を、地方自治体や中央省庁の情報公開用サーバーに蓄積し、ネットワークを経由したアクセスや検索ができるようにする。利用者は、自宅や職場のコンピュータからこれらの情報を利用する。また、行政機関などにもパソコンを設置して、このような情報にアクセス可能な環境を整備する。

 

3−2−5 選挙

現行の投票制度に関して、その欠陥を指摘する意見もある。特に強調される意見としては、投票場所が居住地に限定されることや自書式のため無効票や疑問票が多くなること、開票/集計作業に人と時間がかかることなどがあげられる。なかでも、投票場所が限定されることは、投票率の低下(1996年10月20日に行われた衆議院総選挙小選挙区の投票率は59.65%と戦後最低を記録した)や海外居住者が投票できないという問題と密接な関係があり、その解消を期待する声も強い。

これらの問題は、いわゆる電子投票システムで解決することが可能である。たとえば、政治広報センター、NTTデータ通信、東芝の各社が発足させた「電子投票システム研究会」では以前から電子投票システムを提言している。このシステムは、受付端末、投票端末、集計端末の三種類のハードウェアと、住民(IC)カード、電子投票カード、通信回線ネットワークの三種のツールで構成されるシステムであり、前述の問題点を解決できるものとして注目を集めている。具体的には、住民カードを受付端末に挿入することで選挙人の特定を行い、電子投票カードを発行する。特定された選挙人は電子投票カードを受け取り、投票端末に挿入して電子ペンによってタッチする形式の投票を行う。このデータは専用回線経由で集計端末に集められ、集計される。

将来的には、自宅や職場などからでも投票ができるようになることが望まれるが、このようなシステムを導入し、各端末を現状の投票所に限定せずに駅や公共施設などにも配置するだけでも、大きな効果があるものと思われる。

 

 

 

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