ばいいわけではなく、コンピュータのプラットホームやアプリケーションに制限されない形式での電子化が必要である。たとえば、インターネットで広く用いられているHTMLや、特許庁のオンラインシステムで利用されているSGMLといったマークアップ言語などを利用し、どのようなコンピュータでも文書の処理をできるようにすることは、その解の一つである。
もちろん、現行法では各種法的文書の電子的な保存が認められていないため、この規定の緩和を進めることが大前提となる。現行の「現物を5年、それ以降はマイクロフィッシュ化により7年以上保存」という規定を緩和して文書のデジタル処理を進め、業務処理の効率化を図らなければこのようなサービスの実現は不可能である。
さらに、現在は原則的に窓口で授受されている手数料をオンラインの場合どう処理するか、という問題もある。現状のインターネットやパソコン通信では、金銭のやりとりをクレジットカードで処理することが一般的であるが、書類の申請のように少額の場合はクレジットカードの手数料が大きな負担になる。電子決済の技術が確立されれば回避できる問題であるが、それまではプリペイド方式や銀行振り込みなどを併用せざるを得ないであろう。
3−2−2 各種書類の自動交付
住民票(の写し)の交付請求では、原則として居住地区の行政機関に出頭する必要がある。また、戸籍(謄本・抄本)であれば、戸籍がある地区の行政機関まで出向かなくてはならない。そのため、「住んでいる場所」と「日中生活している場所」が異なる層にとっては、これらの書類の交付を受けることが困難になることが多い。
そのため、現状でもいわゆる「自動交付」が認められている書類を中心に、自動交付機設置場所の拡大などの施策が求められている。
具体的には、現在行政機関内にのみ設置されている自動交付機を駅や金融機関、コンビニエンスストアなどに設置し、利用可能時間を拡大するだけで住民の利便性は大きく高まることになる。また、諏訪地域広域市町村圏の窓口共通化や、埼玉県が東京(新宿)に「埼玉県情報センター新宿(埼玉県領事館)」を設置したように、居住地区外からでもこれらの書類の交付を受けられるような仕組みに対する住民ニーズも高い。実現するためのシステムはそれほど難しいものではないので、法制度の柔軟な運用による対応が望まれる。
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