3−2 望まれている行政サービス
前項で述べたように、電子化された行政サービスも徐々に具体化し始めている。では、住民の側からはどのような電子的行政サービスが望まれているのだろうか。一般的に、行政サービスに対する不満としては以下があげられることが多い。
1.窓口への出頭が必要なこと
2.居住地の行政機関への出頭が必要なこと
3.書面の提示(授受)が必要なこと
4.窓口を「たらい回し」にされること
5.公開される情報が「紙」であること
これらの不満は、「時間的・空間的距離の克服」「ペーパーレス化」「情報の一元化」がなされていない、ということに集約される。言うまでもなく、情報通信技術/情報通信ネットワークはこれらの問題の解決に大きな役割を果たすことが可能である。
より具体的には、以下のようなサービスの実現が必要である。
3−2−1 各種申告・申請・手続きのオンライン化
たとえば、税金に関する申告は税額の計算や申告用紙の記述方法が複雑かつ多岐にわたっており、中小企業や個人商店などでは大きな負担になっている。そのため、公認会計士などの専門家に協力を依頼することが多い。また、不動産の登記や車両登録なども税務申告同様専門的な知識が必要であり、こちらも、有料の代行サービスが利用されることが多い。
このような負担を軽減するため、業務そのものの簡略化を図るとともに、ネットワークを通じた申告・申請を可能にすることが求められる。既に、米国では電子メールによる納税システムを義務づけ、1997年1月から一斉導入することを決定している(読売新聞1996.8.7)。
このようなサービスの実現には、次のようなシステム(仕組み)が必要である。まず、現在紙ベースで処理されているものを電子化しなくてはならない。しかも、全国的なデータの互換や将来的に蓄積していくことを考えると、書類を単純にワープロ文書化すれ
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