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1−2 各  論

 

(1) 進む高速通信網整備と通信料金低額化のきざし

1996年春以降、通信事業者等による高速通信網の整備が急である。通信事業者による精力的な光網敷設に加えて省庁や自治体による光ファイバー整備も始まっている。また、従来からある設備や制度を利用して低価格な通信サービスを展開する動きも活発化している。CATV事業者の相互接続による通信網、公専公接続や市外大口割引の単純再販などの他、インターネットを利用し市内料金で国際電話がかけられるインターネットフォンや、内外価格差を利用したコールバックサービス等も本格化しようとしている。

現状では米国と通信料金を比較すると、基本料、加入一時金、専用線などいずれも米国との価格差が大きいものの、郵政省では、2005年には各家庭に20Mbpsを15,000円程度で提供できると試算している。

 

?@ 通信事業者の高速通信網整備

高度情報通信社会推進本部では、我が国の光ファイバーの普及を、2000年に全世帯の20%、2010年に100%という目標を掲げている。郵政省の調査では、1996年3月末時点で、NTTの光ファイバー網整備は加入者系で総人口の12.9%をカバーした。現在までの敷設距離は総延長距離114万4000kmの6.4%にあたる7万3000kmとなり、米国の7.4%に近づいた。1996年7月から9月までのNTTのISDN契約数は電話契約数を上回り、3ヵ月の累計では一般電話の1.5倍に当たる13万9000件に達している。

NTTは幹線から家庭までのアクセス網の光化の課題はコストであるとして、メタルケーブル並みのコストで敷設可能な「新光アクセスシステム」を開発した。本来なら、1家庭で1台使用する光回線終端装置を10家庭程度で共用し、電話局側の装置も複数の光ファイバーを束ねて共用し、設備コストを下げる。しかし装置は共用するものの、光ファイバーはパッシブダブルスター方式により各家庭まで1本ずつ敷設するため、完全なFTTHの完成には光回線終端装置を増やすだけでよい。

当面必要なニーズをまかないながら、将来の拡張が容易で、光ファイバーの敷設工事も1回ですませてしまうという合理的な方法である。光ファイバーの価格は1997年には現在のメタルケーブルと等しくなると予想されている。光回線終端装置も、

 

 

 

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