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事業者免許を取得したCATV事業者は10社を越え、インターネットの他、CATV電話、高速LAN、セキュリテイサービス、医療・福祉、VODなどの実験が各地で行われている。

CATV事業者が通信事業を行うことは、93年12月に認められた。同時に郵政省は地元事業者要件の廃止、外資規制の緩和、複数事業計画者間の一本化調整廃止など大幅な規制緩和策を発表し、CATV事業の振興を打ち出したが、これにより米国CATV事業者と日本の商社が提携したMSO*3が相次いで誕生し、それぞれ光ファイバーを導入した高度サービスと大胆な加入促進策によるダイナミックな事業展開を表明している。

地上波民放各社ではアジア地域への娯楽番組配信の検討を始めている。韓国ではすでに韓国通信公社がデジタル放送衛星を打ち上げ、アジア地域への情報発信基地を目指しており、シンガポールや香港、台湾などもアジアでの通信のハブを目指したインフラ整備を進める*4など、放送メディアは、アジア地域でも主導権をめぐる国際競争が始まっている。

 

1−1−3 これからの情報通信サービス

(1) 移動体通信の成長

無線通信の分野でもISDN化が進められている。特にPHS(Personal Handy Phone System)も含めた携帯電話の加入者は1996年7月に1,600万人を超えており、周波数の不足が心配され多重化効率の良いデジタル化に期待がかかっている。アナログによる移動体通信は秘匿性に劣るといわれ、データ通信へのニーズは高くなかった。音声通信では自動車電話、携帯電話、船舶通信、航空機電話、マリネット電話等に広く利用されていたのに対し、データ伝送の利用は800MHz帯利用のテレターミナルのみであった。無線通信におけるデジタル化は多重化の他にも伝送品質のよさ、秘話性、デジタルネットワークとの親和性の良さ、小型化が可能などメリットは多い。また、アナログ時代には音声と非音声の違いや構内と屋外の別でシステムを異にしていたが、デジタル化されることでこれらのシステム融合が図られ、構内電話と携帯電話の融合・高速化が可能になった。将来的には、通信衛星を利用したデータ伝送も可能になる。


*3 Multiple System Operator.95年1月にジュピターテレコム(住友商事、テレコミュニケーションズ)とタイタス・コミュニケーションズ(伊藤忠、東芝、タイムワーナー、USウエスト)が設立され事業を開始している。

*4 成長の著しいアジア・オセアニア地域の情報インフラ整備については、この地域での情報スーパーハイウェイ建設に技術協力体制を築くため、日本がAII構想を提案している。

 

 

 

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