無線通信の分野でもISDN化が進められている。特にPHS(Personal Handy Phone System)も含めた携帯電話の加入者は1996年7月に1,600万人を超えており、周波数の不足が心配され多重化効率の良いデジタル化に期待がかかっている。アナログによる移動体通信は秘匿性に劣るといわれ、データ通信へのニーズは高くなかった。音声通信では自動車電話、携帯電話、船舶通信、航空機電話、マリネット電話等に広く利用されていたのに対し、データ伝送の利用は800MHz帯利用のテレターミナルのみであった。無線通信におけるデジタル化は多重化の他にも伝送品質のよさ、秘話性、デジタルネットワークとの親和性の良さ、小型化が可能などメリットは多い。また、アナログ時代には音声と非音声の違いや構内と屋外の別でシステムを異にしていたが、デジタル化されることでこれらのシステム融合が図られ、構内電話と携帯電話の融合・高速化が可能になった。将来的には、通信衛星を利用したデータ伝送も可能になる。