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は じ め に

 

これまで、各行政機関における通信ネットワークは、主として各種の内部事務処理の効率化等を図る観点に基づいて、その構築・整備が進められてきた。電話系に関しては、全国各地の各行政機関相互間の通信ネットワークが整備されつつある現状である。一方、各種のデータ通信に代表される所謂「非電話系」に関しては、従前、特定の事務処理業務のシステム化/ネットワーク化が主目的とされており、一部の特定機関相互間の通信ネットワーク構築が主流であった。

また、各行政機関における情報システムに関しては、OA環境の整備も進展しつつあり、特定業務に特化した情報システムだけではなく、各種の情報システムとの相互接続を可能とする構内情報通信ネットワーク(LAN)も導入されつつある現状にある。現在、中央省庁相互のLAN間接続を実現する「霞が関WAN」の運用が開始されており、今後、各省庁間の情報流通の電子化は加速されると考えられる。

上記に示す様な行政機関相互間における情報化の進展状況を鑑み、行政機関による国民サービスの利便性を高める観点から「官民情報通信ネットワーク」を構築することが望まれている。「官民情報通信ネットワーク」の構築に際しては、個々の情報通信ネットワークの構築・整備だけではなく、国の行政機関、地方自治体、民間企業、一般国民等のネットワーク相互接続が必要条件となる。これらの相互接続を実現するためには各種ネットワークに関する広範な管理環境の整備を含めたシステム全般の見直しが必須である。

上記の背景を踏まえ、本調査研究では「官民情報通信ネットワークの構築」に際して、利用面からの視点を考慮に入れ、留意すべき課題の整理及び分析を行い、広義の行政情報化推進に資することを目的とする。

なお、本調査研究は、日本財団(財団法人日本船舶振興会)より補助金の交付を受け、「行政情報システムの研究開発等」の一環として実施したものである。また、本調査の企画立案、とりまとめ等に際しては、学識経験者、行政実務の経験者及び行政情報システム研究所をもって構成する委員会の審議を経て、また委細にわたる調査研究に関しては「日本電信電話株式会社」の協力を得たものである。

調査にご協力いただいた関係各位に謝意を表するとともに、本報告書が各機関の業務推進の一助となれば幸いである。

 

平成9年3月

 

社団法人 行政情報システム研究所

 

 

 

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