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第4章
新しい「公」の担い手へ投資する
〜国内協力援助事業
第1節 社会の変化の兆しを発見し、ボランティア・NPOと共に
社会のニーズを先取りして助成を開始
 日本財団では、社会のニーズを先取りする形で1992年10月に業務第三部援助課(1995年4月、ボランティア支援部に改組)を設置し、半年間の準備期間を経て、翌年の1993年4月から、ボランティア・NPO活動に対する助成業務を開始した。
 ボランティア助成金制度の目的は、自発的社会集団による良きコミュニティーづくりのための投資であると位置付け、まずは遍く広く、担い手たるボランティア・NPOの育成を図った。助成金は原則100万円を限度とし、年に2回(1994年までは年1回)新聞等で公募した。大半の申請は福祉施設慰問やチャリティー、障害者支援活動などの福祉分野であり、また申請団体もおよそ組織活動とは程遠く個人活動色の濃い団体で占められていた。
 
国内協力援助事業数と助成金の推移
年度 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001
件数 41 150 238 475 709 781 507 638 673 735
金額 45,425 59,987 127,120 90,708 106,345 114,159 112,665 131,821 131,579 120,380
(※うち福祉車両)
件数 - - 51 77 103 118 162 207 240 1,319
金額 - - 28,571 26,650 33,713 38,763 57,634 69,092 75,375 80,935
(単位:万円)
 
ボランティア・ブームと重点投資
 1995年1月、阪神・淡路大震災が発生し、延べ100万人を超えるボランティアが活動、社会的インパクトは非常に大きかった。
 この阪神・淡路大震災を契機に局地的に盛り上がったボランティア活動はその後もある種ブームとなって全国に広がり、この頃から助成金の申請件数も飛躍的に増大してきた。申請内容も福祉分野中心から教育、まちづくりなどへ広がってきた。
 そうした中、1997年からはいくつかの重点項目を掲げて応募を喚起し、重点的に投資する方式を導入した。
 さらに、重点項目では「はじめの一歩助成」制度も設け、多くの団体の立ち上げを支援し裾野の拡大を図った。
 これらの重点項目ではそれぞれ外部識者による研究会を設置し、特に移送サービス、里山保全、不登校児の分野では刊行物やセミナーなどを通じて研究成果を社会に提言した。
 
阪神・淡路震災後の街の様子
 
担い手の育成から成果重視へ移行
 1998年には、ボランティア・ブームが後押しする形で特定非営利活動促進法(NPO法)が施行され、NPO活動の基盤が形式的には整備されることになる。
 2002年末には全国でNPO法人数が1万にも迫る勢いであり、NPO法人からの助成金申請数も増大の一途をたどっている。申請団体にも単なるボランティア活動から、より組織的・経営的な活動へと傾斜していくものが増えてきた。しかしながら、ボランティア支援部の創設10年目を迎える2002年現在、社会的責任を負いつつ成果を出している団体や活動はまだまだ少なく、同時に組織的に発展し自立したと認められる団体も稀有である。
 その原因は、他の組織との協働ができず、組織をマネジメントしようという意思と能力の不足にあることは、助成実績団体などを実情調査した結果から明らかであった。
 そこで、全国各地での「助成事業成果発表会」の開催やNPO支援センターへの特別強化プログラムの実施、そして2002年度には「協働」という、従来とは全く違う切り口で公募するなど、多面的かつ強力に成果重視の姿勢を打ち出し、NPOの健全な発展をめざしていく方針である。
 
在宅高齢者向けの給食サービスで調理するボランティアグループ(ふきのとう)



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