日本財団 図書館
 
Top日本財団三十年の歩み 本史>本史詳細
(昭和60年度〜平成3年度)
第4節 国際社会におけるわが国の責任と役割の増大
3.人材育成と女性の地位向上への協力 開発途上国の海事専門家の育成
国際海事機関(IMO)は1948年(昭和23年)3月、国際連合海事会議(ジュネーブ)での採択により設立された国運の海事専門機関であり、国際的な海事諸問題のうち、技術的な事項について基準を作成し、数多くの条約および議定書に編入してきたが、技術基準の作成にあたっては、開発途上国が必要とされる技術的専門意見を一般に有さないため、かなりその作成が妨げられているのが実情であった。
こうした背景のもとに1980年11月、スウェーデンのマルメ市で開催されたIMOセミナーの冒頭、スウェーデンの運輸大臣が、開発途上国における高度な海事専門家の養成を主目的とした海事科学技術に関する国際大学をマルメ市に設立することを提案し、採択された。その後、1981年11月に開催されたIMO第12回総会において、世界海事大学のマルメ市設立が合意され、スウェーデン政府ならびに国連開発計画(UNDP)の資金援助を得て、83年7月に開校した。
世界海事大学は開校以来、最新の設備と優秀な教授陣を擁し、開発途上国から多くの留学生を受け入れて、海事専門家としての教育・訓練を施している。これらの留学生は卒業後自国に帰り、海事訓練機関の教官・試験官、海事上級行政官、海難調査官、技術行政官あるいは造船学専門家として責任ある地位につき、活躍している。
一方、世界海事大学の運営は、スウェーデンをはじめとする各国政府、UNDP、民間団体からの寄付で賄われてきたが、本会に対してもIMO事務局長から、アジア地域からの留学生を対象とした奨学基金設置への協力要請がなされた。
本会は従来からIMOの主催するセミナーなどの開催や本部建設に対し援助金を支出し、IMOの活動を支援してきたが、本要請に対しても積極的に協力することになった(第2章第1節の「IMO,ISOなど国際機関への対応」参照)。昭和62年度に100万ドル、平成3年度に400万ドル相当額を支出し、IMOの活動と業務の円滑化に貢献すると同時に、わが国と開発途上国との友好親善関係の促進に寄与している。
世界海事大学の研修

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
 
The Nippon Foundation