日本財団 図書館
 
Top日本財団三十年の歩み 本史>本史詳細
(昭和60年度〜平成3年度)
第4節 国際社会におけるわが国の責任と役割の増大
3.人材育成と女性の地位向上への協力 中国医学奨学生の受入れ
(財)笹川記念保健協力財団は、日中両国の友好事業の一環として(財)日中医学協会の協力を得て、昭和61年8月、中華人民共和国(中国)衛生部との間で「笹川医学奨学生制度」に関する協定書に調印し、日中友好15周年にあたる62年から10年間にわたり中国医学研修生(西洋医学)1,000名を受け入れることとなった。本会はこの事業の重要性を考え、補助金を支出し支援している。
笹川医学奨学生制度は、(財)笹川記念保健協力財団が資金を提供し、(財)日中医学協会がわが国での受入れ体制を整え、中国衛生部から推薦された医学生を毎年100名ずつわが国の各大学・医療研究機関が受け入れ、研修を実施し人材を養成して、日中双方の医学水準の向上に役立てようとするものである。対象となる研修生は、中国全国で実施する選抜テストに合格し、(財)日中医学協会の研修生委員会の選考を経た者で、大学・専門学校卒業後一定の実践経験を有する専門家である。
わが国での研修内容は、医学、歯学、薬学、看護、臨床検査から、医学教育の管理・研究、衛生行政管理等に至るまで広い範囲にわたる。
この医学奨学生制度は順調にすすめられ、これまでに450名をわが国に受け入れ、そのうちすでに350名が研修を修了し、帰国した。平成3年8月には本協定書調印5周年を記念して、北京に帰国奨学生全員が一堂に会し、記念学会が開催された。なお4年度には、医学研修の実が一層あがるよう、来日前の語学研修期間(日本語、英語)を3か月から6か月に延長することとした。
また、中国医学奨学生は研修態度が真面目で研修成果もあがり、指導教官の評価も高い。中国政府も多くのことを学んで帰国した研修生に対し多くの期待を寄せている。帰国研修生のなかでも優秀な者には再度わが国で教育して欲しいという要望が、中国政府のみならず指導教官の間からも出てきたので、4年度から帰国研修生のなかから特に優秀な10名を上級研究員としてわが国に招聘し、高度の人材教育を行うこととなった。


中国医学生の研修


研修後、現地で活躍する医師

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
 
The Nippon Foundation