世界の食糧問題の解決に寄与するため、本会はアフリカの飢餓対策に協力するとともに、開発途上国の食糧自給率向上をめざして、アジア野菜開発研究センターおよび国際トウモロコシ・小麦改良センター(CIMMYT)の活動を支援した。 アジア野菜開発研究センターは、台湾、日本、韓国、フィリピン、タイ、アメリカ、旧西ドイツおよびアジア開発銀行の合同出資により、1971年(昭和46年)、台湾に設立された非営利の国際農業研究機関である。熱帯・亜熱帯地域の野菜育種を主目的とし、特定作物の遺伝子源の収集、耐熱性優良品種の研究、新しい生産・流通技術の開発と教育研修等の活動を行っている。このうち教育研修活動は、各国の野菜研究開発計画のなかに意欲的な研究開発者を多数送り込むことを主眼とし、これまでに50か国から800名以上の研修生を受け入れ、大きな成果をあげてきた。 1987年、同センターでは野菜研究開発者の養成プログラムと並行して、5か年計画による講師研修プログラムの新設を計画した。これは、年間35名の研修生を招聘し、生産・出荷の伝統的慣行の改善と、新たな市場メカニズムに基づく効率的な野菜生産方式を確立するための教育を行い、帰国後、自国で後進の指導ができるように訓練を施そうとするものであった。本会は同センターの求めに応じ、昭和62年度から平成元年度までこのプログラムを支援し、熱帯・亜熱帯地域の農業指導者の養成に協力した。 CIMMYTは1966年にメキシコに設立された世界有数の非営利の農業研究・訓練機関である。全世界の学者の共同研究により、各地の気象条件に適合した収穫量の多い小麦・トウモロコシの品種開発をすすめるとともに、毎年、開発途上国から国家プログラムに従事する農業研究者約250名を招き、作物技術の実地訓練を行い、高い評価を得ている。 CIMMYTでは設立20周年を目標に、訓練活動の一層の強化を図ることとし、本会に協力要請がなされたので、本会は昭和59、60年度に援助資金を支出した。この資金をもとに1986年、訓練・会議施設および図書館・視聴覚学習センター等の情報サービス施設が完成し、使用が開始された。 |
アジア野菜開発研究センターでの訓練プログラム
CIMMYT情報サービス施設 |