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(昭和60年度〜平成3年度)
第4節 国際社会におけるわが国の責任と役割の増大
1.国際交流の促進と国づくり支援 笹川南東アジア協力基金
戦後の世界を支配してきた東西冷戦の終焉は、世界情勢に急速な変革をもたらし、政治・経済・社会等に多大な影響を及ぼした。長年、戦火のもとにあったインドシナ半島にも平和が訪れ、ベトナム、ラオスの市場経済体制への移行やカンボジア問題の政治的解決など、アジアの戦後史にエポックを画した。
しかし、ベトナム、ラオスの市場経済への移行には幾多の困難な問題があり、また、カンボジア復興のためには、大量に殺戮された知識人・専門家・教師等にかわる人材の養成が最優先される必要がある。
これらインドシナ諸国の復興・改革への努力を支援し、経済・社会・学術文化等の交流と人材の育成を通じて、国際友好を促進し、インドシナ地域の恒久的な平和と安定に寄与することは、同じアジアに位置するわが国にとって緊急かつ重要な課題であった。
こうした背景と認識のもとに、笹川平和財団はカンボジア、ラオス、ベトナムの3か国を当面の対象とする、笹川南東アジア協力基金の設置を計画した。同基金は、本会が支出した40億円をもって平成4年3月に発足し、今後の事業展開として、人物交流、人材養成、調査研究および会議の開催等の幅広い活動に積極的に取り組んでいくことになっている。
4年度には主な事業として、インドシナ3国政治家の訪日交流とカンボジアの人材訓練、ベトナム、ラオスヘの社会科学関係の教師派遣、マクロ市場経済政策の研究および農村地域の生活・消費構造の分析調査等を行うことにしている。
このうち、カンボジアの人材訓練は、職業訓練指導者の能力向上を目的とし、4プログラム計60名を対象者として、5か月間にわたりタイで実施する。また、社会科学関係の教員派遣は、各大学の社会学担当教員の能力を向上させるだけでなく、学生にも市場経済の深い知識を与えることを目的としている。

ベトナム・ダナンの花市



カンボジアの子供たち

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