日本財団 図書館
 
Top日本財団三十年の歩み 本史>本史詳細
(昭和55年度〜59年度)
第5節 国際協力援助事業の伸張
3.地球環境問題への積極的な協力 国連笹川環境賞の設置
UNEPは設立以来、農村および都市の居住地域の生態および環境の保護と開発、砂漠化、酸性雨、種の絶滅、海洋汚濁、大気圏の異変等の諸問題に関するプロジェクトを積極的に展開してきたが、1982年(昭和57年)には第1回国連人間環境会議開催の10周年を記念して、国際的な環境賞の設立を計画した。
この賞は、環境の保護および向上のために著しい貢献のあった個人または団体を顕彰し、世界中の人々に環境問題の重要性を認識・理解させることを目的としたものであった。
UNEPからの要請に応じ、本会はこの賞を永続させるための基金として昭和57年度に100万ドル(約2億4,000万円)を拠出し、同賞は「国運笹川環境賞」と命名された。
国連笹川環境賞の受賞者は、環境専門家(7名以内)からなる環境賞審査委員会が選考を行い、UNEP事務局長に対し授賞勧告をし、事務局長がそれを承認して決定されることとなった。
1984年6月、第1回授賞式がニューヨークの国連本部において開催された。第1回受賞者にはローマクラブ前会長の故アウレリオ・ペッチェイ氏が選ばれ、デクエヤル国連事務総長から未亡人に賞状と賞金が贈られた。
第1回授賞式以来、同賞の賞金および運営にかかる費用は基金の運用益で賄われてきたが、第5回授賞式を終えた段階で、UNEPは一段と深刻さを増す地球環境問題をふまえ、1990年以降の同賞のあり方について再検討を行った。
その結果、地球環境の保全と再生のためには、人類全体の共通認識と迅速な対応が求められ、同賞の果たす役割はますます大きくなるとの判断から、同賞の権威をより高める(賞金の増額:従来5万ドルであったものを20万ドルに)とともに、世界中から注目されるより効率的な広報活動を行うべきであるとの合意がなされ、本会に基金増額の要請があった。これに対し、本会としては協力方法は基金の増額ではなく、毎年度の所要額から運用益を差し引いた不足額を拠出することとし、平成元年度から実施している。

国連笹川環境賞の受賞者一覧
第1回(1984年)
アウレリオ・ペッチェイ(イタリア)
環境劣悪化と天然資源の持続的利用に関する議論の草分け
第2回(1985年)
ハッサン・アスマズ(トルコ)
トルコ天然自然協会の設立とその活動
ギルバート・ホワイト(アメリカ)
自然危険研究のビヘイビア的側面についての業績
第3回(1986年)
アフリカ野生動物管理大学(タンザニア)
アフリカ野生生物の専門的管理者の養成
第4回(1987年)
ニコラス・ポルーニン(スイス)
環境保全基金の設立と国際環境教育協会の組織化
エリザベス・マン・ボルゲーゼ(マルタ)
国際海洋開発法分野での研究
第5回(1988年)
王立都市計画委員会(サウジアラビア)
発展途上国における環境を意識した都市開発
世界環境開発委員会(ノルウェー)
報告書『われわれの未来』の作成
第6回(1889年)
レスター・R・ブラウン(アメリカ)
『世界報告』『ワールドウオッチ』の刊行
第7回(1990年)
F・チコ・メンデス・フィルホ(ブラジル)
家畜放牧民の熱帯雨林破壊との戦いを主導
第8回(1991年)
ウォルフガング・プルヘンネ(ドイツ)
フランソワーズ・ブルヘンネ(ベルギー)国際・国内環境法の地位の強化

 受賞者に贈られるトロフィー

日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION
 
The Nippon Foundation