昭和40年代になると、産業・人口の大都市集中により道路交通は年ごとに渋滞の度をまし、庶民の足として親しまれ利用されてきたバスも、ダイヤどおりの運行が困難となった。バスを見切り、マイカーに転向する通勤通学者が増加したが、これがまた、道路交通の混乱に輪をかける結果となった。 こうしたなかで、46年6月、運輸政策審議会は運輸大臣に「大都市におけるバス・タクシーのあり方およびこれを達成するための方策」について答申を行い、高速度鉄道とバス・タクシーとが、有機的に連携して機能を発揮する過密対策を建議した。そのなかで乗合バスについては、速く、わかりやすく、待たせない、信頼できる交通機関とするため、運行をコントロールする新技術開発の必要性が指摘された。 これを受けて(財)日本自動車輸送技術協会では、バス・ロケーション・システムの開発に着手し、47年度にコンピュータプログラムおよび機器の開発・製作・設置を行い、48年度にそのパイロット実験を実施した。 大都市における道路交通問題がわが国経済の隘路となっていた折から、本会は47,48年度の2年間にわたり同協会に補助金を支出し、新技術の開発に協力した。 バス・ロケーション・システムとは、各路線におけるバスの運行状態をセンターで集中監視し、コンピュータを利用して、停留所で待機している乗客に接近中のバスの位置、行先等の情報を提供すると同時に、バスの運転間隔がダンゴ状態にならないように、運転者に待機・発車を指示することにより、輸送効率の向上を図るシステムである。また営業所でバス運転スケジュールや日報作成を自動的に行い、事務の合理化と迅速化が図れるという利点も備えている。 このシステムの開発とパイロット実験は成功裡に終わり、停留所で待つ乗客のイライラを解消するとともに、運行速度の低下、運行時間の増大、乗客への情報サービスの不足、ダンゴ運転など輸送力の配分の不均一、輸送量当たりのコストアップなどの問題解決に資し、利用者とバス会社の双方に大きなメリットをもたらした。 このシステムはその後、順次、各バス会社や都バスの路線に導入・実用化され、公共輸送機関としてのバス輸送の再生に貢献している。 |
バス・ロケーションシステムのセンターでの表示板
試験導入された、渋谷駅のバス・ロケーションシステム
バス・ロケーションシステム発表会 |