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(昭和46年度〜54年度)
第2節 福祉・公益事業の拡大
6.多岐にわたる保険・福祉ニーズ 離島巡回診療
(福)恩賜財団済生会は「医療を受けることができないで困っている人たちに施薬救療の途を講じるように」との「済生勅語」とともに明治天皇から下賜されたお手元金をもとに、明治44年に創設され、戦後社会福祉法人となり、医療サービスと福祉の増進に必要な諸事業を広く行ってきた。
昭和37年には創設70周年記念事業として、瀬戸内海・宇和海一帯に点在する離島など医療に恵まれない地域を広く巡回し、疾病の治療・保健予防等の医療活動に乗り出すことになった。巡回診療船「済生丸」1世号が建造され、広島・愛媛・岡山・香川4県の済年会病院が同会の統括のもとに、巡回診療を開始した。
本会は39年以来同会に補助金を交付し、その広範な医療・福祉活動を支援してきたが、この離島巡回診療事業に関しても、2世号および3世号の建造に際し補助金を支出し、この「海を渡る病院」事業が円滑に推進できるよう援助した。
45年就航の改造1世号は新検診・検査設備のほか胃精検用レントゲン装置を装備した本格的な診療船であったが、耐用年数が近づいてきたので新船の建造が決定され、50年7月に2世号が進水した。2世号の船舶装置は、受診者の乗下船用に便利な折畳式傾斜渡船橋、レーダー、船舶電話等の設置のほか、X線テレビ・自動化学分析装置等の診療・検診用機器も増設され、その機能は中級病院に匹敵するまでに充実し近代化された。
3世号は平成元年9月に進水し、2年2月に完成した。「自分の健康は自分で守る」という2世号以来の目標実現に向け医療面の一層の充実が図られるとともに、近い将来、福祉面でも活躍をめざし小型自動車などが搭載できるよう設計されている。

船内で眼科検診を待つ日振島の小学生


済生丸2世号での検査


済生丸3世号

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