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(昭和46年度〜54年度)
第2節 福祉・公益事業の拡大
5.福祉施設の建設支援 児童福祉施設
わが国経済の成長が本格的な軌道に乗るにつれ、昭和40年代に入り、福祉の充実を求める国民的な世論が高まり、政府も「福祉国家の建設」を目標に福祉行政に力を入れ、施設の整備、多様化したニーズに対応して新たな各種の施設設置の動きが顕著になった。
こうした動きに本会も、広範な分野にわたって、施設整備を中心に、福祉面での補助事業の強化を図った。

まず、児童福祉の分野では児童福祉法の精神に則り、すでに第1章で述べた保育所整備のほか、身体障害児・精神薄弱児・重症心身障害児のための施設、乳児院、養護施設等の施設整備促進をめざし、補助事業を推進した。
身体障害児については、将来、独立自活するためには相当長期の医療・教育・訓練・生活指導等が必要である。したがって肢体不自由児施設、盲ろうあ児施設への入所措置によって身辺自立から社会的自立への処遇が推進されるようになった。
また身体障害児在宅福祉の重要性に着目し、昭和40年代以降、肢体不自由児通園施設、難聴幼児通園施設等、通園型施設の整備がすすめられた。その後55年度からは閉鎖的な施設から地域社会に開かれた施設のあり方が検討され、心身障害児の多様なニーズに応えられるようにと身体障害児施設地域療育事業の推進が図られている。
精神薄弱児については、保護者のいない家庭において適切な保護指導が受けられない場合、精神薄弱児施設に入所させ保護するとともに、将来独立自活させることを目標に、生活指導・学習指導・職業指導が行われている。また、家庭に適切な保護者があり、日々通園可能な児童については、精神薄弱児通園施設に適所させ、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えるため主に生活指導等が実施されている。
重症心身障害児については、医療法上の病院である重度心身障害児施設に入所させ、常時医療の管理下において個々に適応した医療を行い、その残存能力を回復させるとともに、生活および情緒面の指導により、できる限り社会復帰または家庭に復帰させることを目的として、総合的な医療方針に基づいた療育が行われている。
経済高度成長の影の部分ともいうべき、養育機能の脆弱化に伴う児童の新たな問題諸現象が惹起した。その一つである自閉症児については、44年児童福祉法に「自閉症児の療育」が追加、自閉症児施設での療育が実施されることとなった。
保護者がいないか、または保護者に養育されることが適当でない被虐待児など、家庭での養育が実現できない場合がある。このような乳児、児童には乳児院または養護施設が生活のすべてを保障している。
特に保護を必要とする乳児(1歳未満)は医学的看護を重視し、医師、看護婦等を中心に養育する乳児院での生活が保障されている。
こうした心身障害児施設、精神薄弱児施設、乳児院や養護施設の整備に対しても、本会は積極的な支援の手をさしのべている。
このほか地域児童の健全育成対策として、児童に健全な遊びの場を整備し、その健康を増進し、情操を豊かにすることを目的に、児童館、児童遊園等の厚生施設の設置に関しても補助を行ってきている。
平成3年度までに本会の補助で全国に建設および整備された児童福祉施設(保育所を含む)は771施設にのぼる。
ねむの木学園と園児たち



児童福祉施設・茅ヶ崎学園

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