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(昭和46年度〜54年度)
第1節 造船不況始まる
4.国際化対応と国際協力 IMO、ISOなど国際機関への対応
海運はきわめて国際性の高い分野であるところから、海事に関する国際協力は19世紀後半からすでに行われており、主要海運国が中心となって各種の技術的事項に関して、国際条約などの国際的な取決めを行ってきたが、第2次世界大戦後、国際連合は常設の海事専門機関の必要性を認め、1948年(昭和23年)3月、政府間海事協議機関(Inter−governmental Maritime Consultation Organization: IMCO)の設立ならびに活動に関するIMCO条約を採択した。その後IMCO条約は数回改正されたが、1982年(昭和57年)5月、協議を削除し、政府間を国際に改めることが適当であるとして、名称を国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)に変更し現在に至っている。
わが国は昭和33年3月、受諾書を寄託することによって同日付でIMO加盟が認められた。平成3年4月現在加盟国は126か国で、理事会は32か国で構成され、わが国は理事国に選出されている。
IMOは、国際的な海事諸問題のうち主として技術的な事項について、時代の要請に対応して数多くの新条約、条約改正、勧告などの成立を図ってきた。
(社)日本造船研究協会は、IMOにおける案件の審議の段階で、わが国の意見の反映を図るために、IMOにおいて制定された諸基準と船舶の設計との関連の調査研究を行っている。本会は国際協調、国際協力の重要性にかんがみ、同協会に44年度より補助金を交付してIMO関連の調査研究を支援し、条約・協定の成立に寄与している。今日までに実施した代表的な事業には次のようなものがある。
●小型漁船の復原性基準に関する調査研究
●船舶の無線通信制度について、手動操作にたよったモールス無線電信から、高度無線通信技術を利用したグローバルな自動化通信制度に移行するために導入を図ったGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System)に関する調査研究
●1989年(平成元年)11月、IMO設立30周年を機に東京で開かれた「海上安全および海洋汚染防止に関する国際シンポジウム」
●ダブル・ハル(二重船殻構造)等タンカーの設計の改善に関する研究
また国際標準化については、物資および知的・科学的・技術的・経済活動の分野において国際間の協力を助長することが必要なことから、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が1947年に設立された。電気および電子の技術分野における標準化については1908年にIEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)が設立されていた。両機構とも非政府間機構であるが、国際連合およびこれに関連ある国際機関と国連専門機関での諮問的地位を有し、標準化に関心をもつ他の政府間機構(たとえばガットなど)とも密接な結びつきをもっている。
(財)日本船舶標準協会は、ISOとIECの船舶関係の分野において、国際規格の原案の作成を行い、主要な国際会議に出席して、国際標準化活動に参画している。そしてISO/TC8議長国として、議長の職務遂行を支援するなど、国際協力の責務を、またガット・スタンダード・コード(貿易の技術的障害に関する協定)による責務を果たすとともに、国際規格の内容にわが国の意向を十分反映させるよう努めている。
本会はわが国の海運業、造船業および舶用工業の世界的視野に立った合理化、国際交易の促進に寄与し、造船国日本として世界に貢献するために、(財)日本船舶標準協会に補助金を支出し、同協会の船舶関係国際標準化活動を支援している。
イギリス・ロンドンのIMO本部


IMO基準づくりの実験風景(ストリッピング)



日本で開催されたISO/TC8本会議に出席した各国代表団(昭和48年10月)

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