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(昭和46年度〜54年度)
第1節 造船不況始まる
2.不況対策 離職船員対策と技能訓練
第1次オイルショックによる石油需給の逼迫は、海運業界にも深刻な影響を及ぼした。石油消費の節約、代替エネルギーの開発活用、省エネルギー化が推進されるとともに、石油の買い控えによってタンカーの輸送量は減少し、係船量が増大し、そのために船舶は過剰となり、タンカー市況の悪化と運賃の暴落によって海運業は深刻な経営不振に陥った。
昭和50年には海運各社は一様に船員の新採用を控えたために、高度経済成長時代には船員の有効求人倍率が4.9倍もあったものが、50年1月には1倍を割り、51年には0.3倍以下に落ち込み、海運不況は長期化する様相を呈しはじめた。また51年には海運会社の倒産が相次ぎ、船員の失業が社会問題となった。
このような事態に対して52年9月、政府は49年12月に制定した雇用保険法に追加して「特定不況業種離職者臨時措置法」の制定を企画するとともに、これと並行して「船員の雇用の促進に関する特別措置法」を制定した。これに基づいて従来の(財)日本船員福利協会を改組合併して、53年6月1日、(財)日本船員福利雇用促進センターが設立された。本会は船員の雇用促進を積極的に支援するために、同センターの設立基金の一部を補助したのをはじめ、53年度以来同センターが実施する甲板部員・機関部員を対象とした部員研修、外国船に乗船するのに必要な初級英会話の習得を目的とした海事英語研修、甲板部員・甲板部職員を対象としたタンカー研修、甲板部員・機関部員・機関部職員を対象とした自動化研修等に資金援助を行い、船員の技能の向上、資質の向上、部員の海技免状の取得などに成果をあげるとともに、わが国船員の雇用の安定・職域の拡大、海上の安全確保、海難の防止に寄与している。
雇用促進のための実習




部員研修講習会の閉校式


部員研修用教材

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