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(昭和46年度〜54年度)
第1節 造船不況始まる
2.不況対策 中小企業対策
わが国における造船業は、建造量、技術水準とも世界に誇りうるもので、わが国で建造された多くの船舶は、世界のあらゆる水域で活躍し、人類の文化、経済の発展に大きく貢献してきた。
一方、国内的には多くの関連産業との幅広い連携により、わが国重工業の中核となって企業活動をつづけてきたが、なかでも中小造船業者は、規模こそ小さいが、古くからわが国の海運業、水産業の興隆発展の一翼を担い、全国各地に散在して、その地方の経済にきわめて大きな役割を果たしてきた。このような中小造船業の振興を図り、関連産業の発展に資することを目的に活動している団体が(財)日本小型船舶工業会と(社)日本中型造船工業会である。
(財)日本小型船舶工業会は、昭和38年6月に設立された(社)日本木造船工業会をその前身とし、40年(社)日本小型船舶工業会に改称、43年に同会を発展的に改組して、対日本小型船舶工業会として発足したもので、小型船造船業の経営の合理化・安定と造船技術の向上を促進することにより、小型船造船業の進歩発展を図ることを目的としている。
また(社)日本中型造船工業会は、34年4月に(社)日本中小型造船工業会として発足、44年6月に(社)日本中型造船工業会と改称されたもので、中型造船業の進歩発展を図り、輸出を振興し、あわせて関連産業の発展に寄与することをその主な事業としている。
本会はこの両工業会の趣旨に基づき、設立時より補助金を支出し、多数の事業を支援しているが、特に重要な事業として小型船造船業の構造改善事業を取り上げることができる。
構造改善事業は、38年度に制定された中小企業近代化促進法に基づき、指定業種、特定業種を認定し、運輸大臣が定めた小型船造船業の近代化計画に基づき実施されたものである。41年度から53年度にかけて実施した小型船造船業のグループによる集約化により、企業体質の強化を図った第1次(造船業単独型)構造改善、55年度から59年度にかけて関運業種と造船業の維持発展を図った第2次(関連業種協調型)構造改善、62年度から平成3年度にかけて企業経営環境の分析を行い造船業の活性化を図った第3次(経営戦略化型)構造改善と継続して実施しており、中小造船事業者の不況対策として着実な成果をあげ、中小造船工業の発展に大きく貢献している。
構造改善の特定業種指定を受けている小型船造船業
(建造中の船は14トン型FRP漁船)



構造改善のためのセミナー

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