(財)アジア教ライ協会はアジア諸国との国際協調に寄与するため、アジア諸国におけるらい病の基礎的研究と医療活動の推進を目的として、昭和37年11月に設立された。翌38年8月、同協会はインド政府との間で救らい協力に関する協定を締結し、これに基づきインド教らいセンター建設計画を策定した。その建設資金確保のため各界の協賛を得て、インド教らい事業後援会が組織された。センターの建設工事は38年12月、インドウッタルプラデシュ州アグラ市で開始された。建設に並行して同協会から医療団が派遣され、巡回診療が行われた。44年4月にはほぼ完成の段階に至り、入院患者を収容してセンター内での本格的な診療・治療・研究活動に入り、浮浪らい患者の治療も開始した。センター活動の開始に伴い、現地のカトリック教会が毎週1回センターに専門家を派遣し、読み書きと体育の教育訓練を奉仕するなど、インド側の協力体制も着々と整えられていった。 かねてからアジアのらい病撲滅のため、わが国のもつらい医療技術や研究成果を積極的に活用すべきであると考えていた本会は、国内法人を通した最初の海外援助事業として、42年度から同協会のインド救らいセンター整備事業に補助金を支出した。本会が補助した資金は、静電気治療棟、静電気治療装置、第2病棟、ボイラー・消毒・洗濯棟、インド人傭員宿舎、ゲストハウス、低温実験室、研究用機材、空調装置、車両等の建設・整備に役立てられ、建設工事は45年度にすべて完了した。 同協会インド救らいセンターに特に治療用の高圧静電源療法器が整備されたことは、らい患者の治療と健康の回復、社会復帰の促進に寄与するところ大であった。同センターは今日に至るまでアジアにおけるらい研究の最前線として、また日印親善の主柱として大きな力を発揮している。 |
「船舶振興会報」での紹介記事(昭和42年4月第15号)
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