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(昭和37年度下半期〜45年度)
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第4節 豊かな社会をめざして
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4.医療・公衆衛生の充実 がん対策支援
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がんの病原体は血液にのって全身に広がり、各臓器にとどまって病巣を拡大していく。手術を行っても再発すれば、生命はないといわれるほど恐ろしい病気である。近年、医学の進歩とともに人類の平均寿命は飛躍的に延びたが、がんは人類最悪の病として、いまなお猛威をふるい根本的な予防法や治療法はまだ確立されていない。 わが国でがん撲滅をめざす最初の機関として誕生したのは明治41年に設立された(財)癌研究会である。同研究会は昭和7年に発がん機構の解明およびがん治療の基礎的研究等をすすめる付属研究所と病院を併設し、名実ともにわが国を代表するがんの研究・診療施設となった。戦後は政府はじめ各団体の積極的な支援を背景に、先端技術を駆使した研究開発をすすめ、今日では世界有数のがん研究センターに発展している。 本会は(財)癌研究会に対し、42年度から機器整備、45年度から施設整備、46年度から運営費用に関する補助を開始し、以後毎年多額の援助を行ってきた。 このうち機器整備については、42年度に補助したX線テレビ装置は、患者ならびに関係技術者の被曝線量が少なく同時に多数の診断が可能であるなどの特色をもつものであった。44〜45年度に高エネルギー放射線治療器のリニアック、46年度に血管造影肺精査用テレビジョンX線装置がそれぞれ設置され、がん治療で最も大切ながんの早期発見に威力を発揮した。 施設整備については、研究所、病院と並ぶ(財)癌研究会の第3の機構として、化学療法を徹底的に研究する癌化学療法センターが48年3月に完成した。これにより、従来基礎研究部門と臨床的応用部門がそれぞれ別個に研究活動を行っていたものが一体となり、抗がん剤に対する総合的な研究開発体制が確立した。 また、この癌化学療法センターは、米国国立がん研究所との白血病の化学療法に関する共同研究および日米両国相互間の抗がん剤に関する情報交換の場としても利用され、わが国におけるがんに関する情報窓口としても機能するようになった。 さらに、52年6月には、がんの基礎研究と診療との総合体制による有機的研究の推進を目的とする癌化学療法センター研究診療棟が建設された。新制がん剤の探索、がんの転移防止に関する研究、がんの薬剤耐性に関する研究、がんの免疫学的治療に関する研究、ヌードマウスの研究等、その後の画期的な研究と治療技術の向上は、この化学療法センターと同センター研究診療棟を中心になされたといっても過言ではない。 このように今日、人類が克服すべき最大の課題の一つであるがん撲滅のために、本会は積極的に支援活動を推進し、その研究と治療技術の向上に貢献している。 |
診断用リングスタンド型X線装置
放射線治療器リニアック
ラットによる制がん剤の動物実験
癌研病院
癌化学療法センター |
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